日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
大腸癌標本内リンパ節評価の重要性について
渡部 顕関戸 仁新野 史坂本 里紗清水 哲也
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2017 年 70 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

目的:検索リンパ節は腸間膜から外科医が摘出するリンパ節に加え,固定後に病理医が評価する標本内付着のリンパ節がある.この標本内リンパ節の重要性を検証する.
対象と方法:2013年4月~2016年3月に当院で手術を行い,リンパ節を評価した大腸癌235例.手術後に外科医が腸間膜からリンパ節を摘出し,固定後に病理医が腸管縦軸方向で腫瘍全体に割を入れ,割面を肉眼観察した.
結果:検索リンパ節個数の中央値は23個,外科医が摘出したリンパ節は22個であり,腸間膜より摘出したリンパ節は十分量評価されていた.標本内リンパ節は51%の症例に観察され,その深達度はT3以深が96%を占めた.リンパ節転移症例のうち13%は標本内のみに転移が観察された.
結語:大腸癌の標本内リンパ節の評価はstage migrationの回避のために重要であると考えられた.この評価には腫瘍全体への割入れと切片の観察が必要であると考えられた.

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© 2017 日本大腸肛門病学会

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