2019 年 72 巻 7 号 p. 439-443
症例は45歳女性で,4年前に第2子を出産後,肛門膣間に疼痛を伴う硬結を自覚していた.最近疼痛が増悪してきたため当科受診した.肛門膣間右側に分娩時の会陰切開痕を認め,直下に可動性のない径4cmの硬結を触知した.会陰部痛は月経周期に付随していた.CA125が高値を示し,MRI(T2WI)では低信号の腫瘤の内部に点状の高信号域を認めた.生検にて会陰部子宮内膜症と診断した.腫瘍が肛門括約筋に広く浸潤していたため,肛門機能を温存した腫瘍全摘は困難と判断.45歳と閉経に近く挙児希望がないことより,ホルモン療法を選択した.治療開始半年後のMRIでは明らかに腫瘍の縮小を認め,CA125も著減し,会陰部痛も消失した.会陰部異所性子宮内膜症はまれな疾患であるが,肛門診察で遭遇する可能性がある疾患である.本症例が非典型的なMRI所見を呈したこともあり,会陰部子宮内膜症のMRI所見についても考察する.