Pagetoid spreadを伴う肛門管癌は比較的稀な疾患なためまとまった報告例はなく治療成績もほとんど報告されていない.今回臨床病理学的特徴と治療成績を明らかにするために本邦で治療された81例の検討を行った.平均年齢70.2歳,男女比1対1.3.自覚症状を97%に認め,治療前に原発巣同定困難な症例が32%認め,粘膜内癌を含む早期例でもPagetoid spreadを認めていた.原発性Paget病とPagetoid spreadの皮疹の鑑別に免疫染色が行われGCDFP-/CK20+/CK7+が多かった.切除範囲同定のための術前mapping生検が46%行われ,治療の多くは直腸切断術が行われていた.5年生存率は45.4%で5年累積再発率は51.3%で鼡径リンパ節と局所に多く認め,通常の肛門管癌よりやや予後不良であった.