日本大腸肛門病学会雑誌
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主題I:潰瘍性大腸炎診療の最前線
III.潰瘍性大腸炎関連腫瘍に対する内視鏡治療
高丸 博之斎藤 豊
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2023 年 76 巻 10 号 p. 572-579

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抄録

内視鏡の進歩により,早期の潰瘍性大腸炎(UC)関連大腸腫瘍性病変が発見可能となり,2015年にSCENICステートメントが採択され,早期病変に対する内視鏡切除の可能性が示された.

一方でSCENICのステートメントはEMRやポリペクトミーの研究をもとにしている.ESDは高い一括切除割合とR0切除割合が期待されUC関連大腸腫瘍性病変に対する治療として考慮される.範囲診断可能,炎症が病変周辺に存在しない,内視鏡的にR0切除が可能であるlow-grade dysplasiaは良い適応である.

UC関連大腸腫瘍性病変は線維化や炎症があるため,ESDの手技的困難性は高い.トラクションやITナイフnanoなどを用い,経験豊富な内視鏡医による慎重な治療が望まれる.異時性病変の可能性を考慮しつつ,治療後のサーベイランスも重要である.

内視鏡治療においても,さらなるエビデンスを積み重ねることが重要である.

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© 2023 日本大腸肛門病学会

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