日本大腸肛門病学会雑誌
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アメーバ性大腸炎の臨床
北陸 平小沢 利博金 英一宮本 新太郎
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1975 年 28 巻 4 号 p. 303-307,392

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抄録

アメーバ性大腸炎について,3例の自験例を中心に文献的考察を加える。症例1は70歳男子で,4年前より血便,症例2は57歳男子で,12日前より右下腹部痛と粘血便,症例3は67歳男子で,1カ月前より血性下痢,裏急後重を主訴として来院した.3症例とも生鮮標本および生検でアメーバ原虫を認めた.アメーバ性大腸炎は終戦後一時多くみられたが,その後は関心も薄くなっている.3症例のうち2例は海外旅行歴もなく診断上注意を要する.裏急後重を伴う激しい粘血便,腹痛,発熱等を訴える急性型は比較的稀で,便通異常,不定の腹部症状を訴える程度の慢性型が多い.本邦におけるアメーバ赤痢は厚生省の統計では患者数で1960年には160名であったが1973年は6名に激減しているが,届出にあらわれる数字は一部にすぎないと思われる.直腸,S状結腸あるいは上行結腸,盲腸の炎症性疾患に対するアメーバ性大腸炎の存在も忘れてはならないと思われる.

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