日本大腸肛門病学会雑誌
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痔核・痔瘻手術後の菌血症
樋上 駿山田 二郎小野 由雅宮岡 哲郎谷 徹宗本 忠典西尾 泰戸田 行雄水谷 太郎池永 達雄
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1978 年 31 巻 2 号 p. 93-96,173

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抄録

痔核や痔瘻の手術創は,術中術後,糞便による汚染をさけられず,常に感染の危険にさらされている、術後予防的な抗生物質投与が必要かどうかを知る目安として,48例を対象に術後に動脈血を培養した.術直後,第1,3日目に,Culture-bottle 1, 2号に採血した.その結果,術直後48例中1例,第1日目46例中2例に陽性で,第3日目は32例中全例陰性であった.合計48例中3例(6.25%)で陽性であり,術後菌血症と診断した.
症例1は,内痔核切除第1日目にCulture-bottle1号からE. coliが,2号から偏性嫌気性G (+) cocciが培養された.症例2は,痔瘻手術直後1号から偏性嫌気性G (+) rodsが培養され,症例3は,痔瘻術後第1日目に2号から培養されたが同定できなかった.
菌の薬剤感受性はいずれにも〓~〓であり,3症例とも抗生物質なしで,菌血症から敗血症などには至らなかった.

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