1980 年 33 巻 6 号 p. 569-576,616
近年,人工肛門に関する術後管理,特に周囲局所管理にみるまでもなく著るしい進歩をみている.いわゆるE.T.(enterostomal therapist)と呼ばれている人々による指導管理によるところが大きく,よりよき目常生活にとって,また早期の社会復帰にとって大きな役割を果した.1958年,アメリカはクリーブランドクリニックで開始されたenterostomal therapistの養成は,この方面の治療管理にすばらしい結果をもたらした.現在E.T.の養成スクールの受講者は看護婦に限られており,E.T.スクールの主たるものはアメリカで13校,オーストラリヤで5校であるが,世界の多くの国々でも専門的看護婦の養成に努めている.本邦ではいまだE.T.を養成する教育機関はなく,最近になり大腸癌研究会の分科会である装具妍究委員会で検討されている.E.T.の任務は人工肛門者の専門治療だけでなく,腸瘻や腹部ドレナージ創にもある.また医療保障の問題に関する相談も大切な任務の一つである.最後に全国の患者の相互援助の会であるオストメートクラブの存在などについて紹介した.