日本大腸肛門病学会雑誌
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33 巻, 6 号
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  • 吉雄 敏文, 平野 敬八郎, 永沢 康滋
    1980 年 33 巻 6 号 p. 545-549,614
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    人工肛門造設の適応の種類について老察し,教室例404症例においては,end enterostomy60.4%,decom-pression32.4%で,両者を併せると92.8%を占め,この適応が大部分であることが判った.また原因疾患では直腸肛門癌が圧倒的に多く(74%),次いでS状結腸癌(5.7%),先天性疾患(5%)となったが,頻度には大きな差がみられた.
    現在最も合併症が少なく,術後管理の行い易いと考えられているloop colostomy,end colostomy, endileostomyの方法について,考案を加えながら述べた.
    教室では(1)glass rodを使用したprimary skin-level loop-colostomy, (2)primary skin-level end-colostomy through extraperitoneal route, (3)end-ileostomy with evertionまたはKock's continent ileostomyを原則として採用している.
  • 隅越 幸男, 岡田 光生, 岩垂 純一, 石田 裕, 竹之下 誠一
    1980 年 33 巻 6 号 p. 550-553,614
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1962年より1979年までの18年間に,われわれは一時的人工肛門88例,永久的人工肛門321例,回腸人工肛門8例計417例を造設した.1966年までは二次的に人工肛門を開口する従来の方法であったが,その頃は,合併症として,人工肛門壊死による腹膜炎ならびにイレウス2例,晩期イレウス1例,人工肛門浣腸による穿孔2例を経験し,3例を失った.
    その後はextraperitoneal primary open colostomyに切りかえ,致命的な合併症はおこっていない。しかし狭窄5例,ヘルニア6例,腸管脱出4例を経験した.症例によって筋膜切開に注意を払う必要がある.狭窄をおこし排便障害がつづくようであれば,その部の修復よりは,横行結腸にloop stomaをつくるのが簡便で結果がよい.ヘルニア,腸脱の予防には高齢者,肥満者など組織の脆弱なものには,大きな筋膜切開をひかえるべきである.
  • 進藤 勝久
    1980 年 33 巻 6 号 p. 554-559,615
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    入院時最初のアプローチ如何でostomistの精神構造は変る.まず納得のいく説明と家族への協力を求める.次にストマ造設の場所をきめる.装具の選択には細心の注意を払って,その患者に最も合うものを採用する.
    排便法には自然法,食餌法,薬物法,浣腸法,などがあり,浣腸法の最初の指導は医師が行うべきである.術後すぐに,またストマ周囲皮膚炎のためにも粘着性皮膚保護材の使用がよい.これはカラヤゴム系,合成ゴム系,CMC系,共重合体フィルム系,などに分類される.
    ostomistにとって最大の悩みは糞臭である.これの防止策としては発生源対策,吸着法,化学系吸収法,接触酸化法,微生物法,殺菌法,マスキング法,などがあり,まだ実用化されていないものもある.
    ostomistの社会復帰率の向上と共に彼等に対する医療保障制度も確立されつつある.患者の質問に応えたり,診断書を書く機会が多くなってきたので,現行法の知識が必要である.
  • 穴沢 貞夫, 東郷 実元, 高橋 日出雄, 鈴木 正弥, 綿貫 〓
    1980 年 33 巻 6 号 p. 560-565,615
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    人工肛門患者の排便法は如何なる人工肛門においても自然排便法が基本である.この自然排便法において人工肛門用装具の占める役割ははなはだ重要であり,適切な装具の選択がafter careの良否を決定するといっても過言ではない.目本における装具の正確な現況調査はなされていないが,粘着性装具があらゆる排便状態に使用可能,優れた防臭力などの点で既存装具の中心を占めていることは疑いなく,また我々が将来求める装具もこの形態をとらざるを得ないだろうと考えられる.しかし既存粘着性装具は幾つかの問題点を有しており,それらのほとんどは粘着部に集約されている.為害性がなく十分な粘着能を持った粘着剤の開発は期待されてはいるものの現在の技術段階では開発困難であり,今後この粘着性装具の限界を補うためには皮膚保護剤と消臭剤の積極的利用が必要と思われる.そしてこの皮膚保護剤と消臭剤の可能性に対する科学的検討が必要である.
  • 田村 泰三
    1980 年 33 巻 6 号 p. 566-568,616
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    人工肛門(ストーマ)とその周囲の皮膚障害は非常に密接な関係にある.したがってこの皮膚障害を最少限にすることができれば,ストーマのアフターケアーはほぼ成功したといっても過言ではない.しかし皮膚障害の発生原因は多種多様であり,それぞれの原因に対して予防的,治療的処置を講じなければならない.とくにおこりうる原因に対する予防的処置はスキンケアーの最も重要なことであるといえる.そのためにカラヤゴム,バリケアーなど最近日本においても普及してきた皮膚防護剤(スキンバリアー)を手術直後から皮膚障害の予防のために用いることを基本的処置とし,さらにそのような処置をより効果的に行なうことができるようなよいストーマを作成されることがストーマをもって社会復帰をするための重要な因子である.
  • 田沢 賢次
    1980 年 33 巻 6 号 p. 569-576,616
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    近年,人工肛門に関する術後管理,特に周囲局所管理にみるまでもなく著るしい進歩をみている.いわゆるE.T.(enterostomal therapist)と呼ばれている人々による指導管理によるところが大きく,よりよき目常生活にとって,また早期の社会復帰にとって大きな役割を果した.1958年,アメリカはクリーブランドクリニックで開始されたenterostomal therapistの養成は,この方面の治療管理にすばらしい結果をもたらした.現在E.T.の養成スクールの受講者は看護婦に限られており,E.T.スクールの主たるものはアメリカで13校,オーストラリヤで5校であるが,世界の多くの国々でも専門的看護婦の養成に努めている.本邦ではいまだE.T.を養成する教育機関はなく,最近になり大腸癌研究会の分科会である装具妍究委員会で検討されている.E.T.の任務は人工肛門者の専門治療だけでなく,腸瘻や腹部ドレナージ創にもある.また医療保障の問題に関する相談も大切な任務の一つである.最後に全国の患者の相互援助の会であるオストメートクラブの存在などについて紹介した.
  • 石井 弥, 河井 啓三, 富沢 誠, 又井 一雄, 綿貫 〓
    1980 年 33 巻 6 号 p. 577-580,617
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    われわれは,1977年以来,Medilaser-S(最高出力60W)を用いて,炭酸ガスレーザメスの臨床応用に関する検討をつづけているが,現在まで200例以上の臨床例(痔瘻25例を含む)を経験した.そのなかでも肛門部外科,とくに痔瘻根治手術には極めて有用な方法であることを確認した.
    痔瘻根治手術には20~25W,のfocused beamあるいはdefocused beamを用い,瘻管を完全に気化消滅(vaporization)させ照射創を開放にする方法を行ったが,術中の出血は殆んどなく,短時間のうちに手術が完了し,しかも術後の疼痛が極めて少ないことを確認した.また,開放創が無菌的に処理され,創表面が薄い蛋白変性物質で被覆保護される結果,不良肉芽の形成が少なく,創の瘢痕ケロイド化は全くみられず治癒が促進されるなどの多くの有利な点を認めることができた.
  • 有輪 六朗, 隅越 幸男, 岡田 光生
    1980 年 33 巻 6 号 p. 581-586,617
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    15年以上にわたって肛門周囲に慢性持続性の膿皮症に罹患していた45歳男性の局所生検に粘液腺癌を認めた.Miles手術の結果,直腸及び肛門管粘膜に腫瘍はなく,壁在性に粘液腺癌が認められ,肛門管を圧排し,肛囲皮膚から皮下に腫瘍の拡がりを認めた.肉眼的,組織学的に粘液癌の組織発生を追求し難かった.然し,組織化学的には汗腺由来は否定され,対照の正常肛門腺と同様に,粘液にO-acylated sialic acidsが検出されない点から肛門腺由来を強く示唆した.一方,本例を含めて肛囲膿皮症18例を検討した.全て男性で27歳から57歳,平均39.4歳,臨床経過は3カ月から30年,平均8年の病悩期間である.組織学的には表皮の肥厚角化と有棘細胞層の不規則な肥大増殖,真皮の毛嚢周囲炎,小膿瘍,空洞形成を示した.汗腺の内腔に及ぶ細胞浸潤は稀であり,アポクリン腺の炎症像は乏しく,毛嚢及び皮脂腺周囲炎が主体を占めていた.
  • 1980 年 33 巻 6 号 p. 587-610,619
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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