日本大腸肛門病学会雑誌
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虚血性大腸炎の治療
石黒 直樹土屋 周二福島 恒男
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キーワード: 虚血性大腸炎の治療
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1981 年 34 巻 6 号 p. 646-649

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抄録

虚血性大腸炎の治療方針は,一過性病変では保存的治療壊死穿孔性病変では救急手術が適応であり,潰瘍狭窄性病変では(1)壊死穿孔性病変へ進行する危険のあるもの,(2)イレウス症状を呈するもの,(3)潰瘍からの持続性出血,(4)癌を否定できない場合が手術適応とされる.保存的治療では,禁食,経静脈的な補液・栄養,抗生物質投与などを主とした治療を行う.一過性病変では一般に発症後1週間以内に臨床症状は改善する.狭窄を起した症例も病変部腸管を切除すれば予後は良好である.緊急およびそれに準ずる手術では腸切除あるいは病変部口側に人工肛門造設をする.腸切除は壊死性病変部のみでなく治癒したと思われる病変部も含めて切除する.腸吻合を一期的にするか二期的にするかは術中の全身および局所の状態により決定する.壊死性病変は予後が悪いが,とくに全層性のもの,広範囲のものが予後が悪いと考えられる.

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