日本大腸肛門病学会雑誌
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ホワイトヘッド手術による後障害の病態とその治療
岩垂 純一隅越 幸男岡田 光生塚本 順川原 薫小野 力三郎黄田 正徳
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1983 年 36 巻 6 号 p. 591-595

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抄録

ホワイトヘッド手術の後障害には排ガス,排便などの知覚異常,肛門狭窄,そして粘膜脱がある.排ガス,排便などの知覚異常は肛門の知覚の場といえる歯状線近傍を切除してしまうため生じる治療のしようのない後障害である.肛門狭窄は痔核帯を環状に切除し粘膜皮膚縫合した部分に縫合不全の結果肛門に輪状に配列された瘢痕が形成され,これが肛門の自由な拡張を妨げるために生じる.治療は輪状の瘢痕の一部を切除し放射状の開放創とするか皮膚弁移動術を行う.粘膜脱には痔核帯の切除時に皮切を外におき過ぎたため生じたもの,痔核帯の切除不充分のため生じたもの,そして肛門支持組織の破壊のため出現してきたものとがある.粘膜脱の範囲が少なければ放射状に切除すればよいし広範囲のものなら粘膜脱部を切除後,粘膜皮膚縫合を行い肛囲皮膚に減張切開を加え皮膚弁を作成しこれを肛門管内へ移動させる術式を行う.全周性の粘膜脱に対しても本術式は効果がある.

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