日本大腸肛門病学会雑誌
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36 巻 , 6 号
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  • 竹馬 浩
    1983 年 36 巻 6 号 p. 563-569
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門外科にておける後障害の問題は,肛門がデリケートな機能と敏感な知覚神経をもつだけに,患者の苦痛が大きく,蔑ろにされてはならない.その予防の第一は正確な術前診断に始まる.ここでは問診表の利用,患者の差恥心や痛みへの配慮,大腸疾患を念頭においた診療の重要性を強調しながら,後障害を術後早期(2週問以内)と晩期にわけて記述した.
    術後早期の障害としては(1)疼痛,(2)出血,(3)排尿困難,(4)腰麻後頭痛,(5)排便困難,(6)感染をとりあげ,晩期障害としては(1)創治癒遷延の問題,(2)肛門狭窄,(3)粘膜外翻,(4)肛門乳頭肥大,肛門皮垂,(5)便失禁,(6)再発をとりあげた.
    また,後障害と関係する全身性疾患,ことに出血素因性,糖尿病,白血病,直腸結腸癌,炎症性大腸疾患などのチェックポイントについても言及した.
  • 松田 直樹
    1983 年 36 巻 6 号 p. 570-577
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    地方の一開業医が日常行っている診療のあらましを述べ,手術後の愁訴や後障害を防ぐための手術の工夫や術後管理について,また患者教育などを具体的に示した.そして,実際の後障害を手術直後のものから,術後早期におこる短期的な愁訴または後障害と,肛門狭窄,粘膜脱,肛門機能不全など長期に亘る後障害についてのべる,
  • 河野 一男, 衣笠 昭, 鈴木 信夫, 松島 善視
    1983 年 36 巻 6 号 p. 578-583
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門手術後障害についてはこの10年間種々論議され最早後障害の多い手術,反対にそれの少ない良い手術の区別は結論されていると思われる.しかし我々は今日でも日々後障害の治療に多くの時間をさいている(9%).それは肛門部の特殊性をわきまえず手術の名前だけにとらわれて安易に施術するためであろう。
    後障害手術々式は肛門狭窄に対しては狭窄部切開,SSG全周性粘膜脱には環状切除後3ケ所SSG,肛門括約不全には前方又は後方のsphincter replacement operationであり,肛門前部または後方の筋群が用いられる.
    後障害予防のため壊死注射療法,ホワイトヘッド氏手術は行わない.痔核結紮切除術は上皮の取り幅を狭く,skinbridgeは広く残す.皮下粘膜下の静脈瘤は出来るだけundermindに丁寧に別出する.痔痩手術は組織を出来るだけ温存しfistulotomy, Hanley氏法,括約筋温存手術,筋肉充填術等を行う.
  • 佐々木 茂雄
    1983 年 36 巻 6 号 p. 584-590
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門手術後遺症としては,肛門狭窄症,術後失禁症,下着の汚れ(soilng),肛門刺激症状,などがあるが,これらは保存療法で大部分は消失または緩解するものであるが,年月が経ってもなお中等度以上の症状がある症例は,手術療法を行なうべきであろう.肛門狭窄症は,示指を挿入出来ない程度のものを手術適応とし,肛門管の切開拡大,瘢痕切除縫合,およびSSGの併用により治癒する.術後失禁症の手術療法については,本号に手術後の変形と機能不全の章があるので参照されたい.下着の汚れ,肛門刺激症状に対して手術療法を行う事は少いが,瘢痕の切除縫合を行う.
  • 岩垂 純一, 隅越 幸男, 岡田 光生, 塚本 順, 川原 薫, 小野 力三郎, 黄田 正徳
    1983 年 36 巻 6 号 p. 591-595
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    ホワイトヘッド手術の後障害には排ガス,排便などの知覚異常,肛門狭窄,そして粘膜脱がある.排ガス,排便などの知覚異常は肛門の知覚の場といえる歯状線近傍を切除してしまうため生じる治療のしようのない後障害である.肛門狭窄は痔核帯を環状に切除し粘膜皮膚縫合した部分に縫合不全の結果肛門に輪状に配列された瘢痕が形成され,これが肛門の自由な拡張を妨げるために生じる.治療は輪状の瘢痕の一部を切除し放射状の開放創とするか皮膚弁移動術を行う.粘膜脱には痔核帯の切除時に皮切を外におき過ぎたため生じたもの,痔核帯の切除不充分のため生じたもの,そして肛門支持組織の破壊のため出現してきたものとがある.粘膜脱の範囲が少なければ放射状に切除すればよいし広範囲のものなら粘膜脱部を切除後,粘膜皮膚縫合を行い肛囲皮膚に減張切開を加え皮膚弁を作成しこれを肛門管内へ移動させる術式を行う.全周性の粘膜脱に対しても本術式は効果がある.
  • 松田 保秀, 西脇 由朗, 小川 郁夫, 綿引 洋一, 加陽 直実, 堀川 征機, 浜辺 昇, 守谷 孝夫
    1983 年 36 巻 6 号 p. 596-606
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門機能は,内外括約筋,肛門挙筋などの筋性要素と,肛門上皮,肛門周辺皮膚などの相互の協調作用によって正常に作用している.痔瘻の手術によって起る後障害の中で問題になるのは,内外括約筋が肛門後方以外で切断された場合と,特に恥骨直腸筋が切断された時である.その結果,便,ガスの失禁が起って,日常生活に支障を来す.これら肛門閉鎖不全例は,一般には痔瘻手術による後遺症の14.9%を占める.当院での後障害例は33例で,うち11例(33.3%)が閉鎖不全例であった.
    手術的治療としては,皮膚のみの変形,陥凹の場合は,皮膚形成術,括約筋切断例では,断端を堀り起して縫合再建する.括約筋が使えない時は,代替筋利用手術として,大殿筋を使うSchoemaker法,薄筋を使うPickrell法,尾骨を切除して,恥骨尾骨筋と腸骨尾骨筋に恥骨直腸筋の代りをさせるKottmeier法などの再建術がある.
  • 渡辺 能行, 川本 一祚, 梶原 譲, 赤坂 裕三, 川井 啓市, 多田 正大
    1983 年 36 巻 6 号 p. 607-614
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌の発生を予防する第一次予防のために,大腸癌の発生要因の解明が必要である.そのための分析疫学的研究を行なうにあたって,日本の大腸癌の記述疫学的特徴を死亡統計から検討した.1955年より1980年に至る26年間の厚生省人口動態統計をもとに,性別年齢階級別死亡率を計算し,1960年の日本人人口を標準人口として性別年齢訂正死亡率を求めた.本邦では,直腸癌はあまり増加しておらず,結腸癌,特にS状結腸癌の増加が著しい.盲腸・虫垂・上行結腸癌は若干女に多く,横行結腸・下行結腸癌,S状結腸癌,直腸癌と肛門に近づくほど男に多くなっている.年齢的には,直腸癌,結腸癌とも加齢に伴なって死亡率が増加している.S状結腸癌は環境因子の影響を大きくうけていることが老えられ,S状結腸癌の背景因子について分析疫学的研究を行なうことが結腸癌の発生要因の解明のために有効と考えられた.
  • 梅枝 覚
    1983 年 36 巻 6 号 p. 615-625
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の発症,進展の機序の一端を解明する目的で,正常対照群24例,潰瘍性大腸炎39例,その他の炎症性大腸疾患64例を対象とし,直腸粘膜内浸潤細胞,免疫グロブリン含有細胞,血中好酸球,血中免疫グロブリンなどについての検討を行った結果,潰瘍性大腸炎では組織好酸球が増加しており,これと病型・病勢の間に密接な関係があること,発症後1年未満の症例では末梢血中好酸球百分率が上昇していること,組織IgA,IgG,IgM含有細胞は潰瘍性大腸炎の活動期,緩解期を通じて増加してはいるが潰瘍性大腸炎に特異的な所見はないこと,血中IgA,IgG,IgM量は潰瘍性大腸炎患者と正常対照群あるいは他の炎症性大腸疾患患者の間に差がないこと,などが知られた.
  • 上田 光孝
    1983 年 36 巻 6 号 p. 626-634
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    ラットの成熟過程における大腸杯細胞粘液の性状の変化を,粘液組織化学的に検索した.
    材料は胎児期(胎齢2週)より生後36週までのウィスター系,雄,ラットの大腸を使用し経時的に屠殺,パラフィン標本を作製,H&E染色のほか,AB-PAS染色,HID-AB染色,MOS染色,8-O-N染色等の各特殊染色を行い光学顕微鏡的に杯細胞粘液の産生動態を検索した.
    ラットの成熟過程における大腸各部の杯細胞粘液の変化は,離乳期(生後3週)に一致して主に口側腸管よりはじまり,生後6週で形態的にも機能的にも成熟が完了する.また成熟ラット大腸杯細胞におけるシアル酸は,ヒト大腸杯細胞と類似した分布を示した.
    以上の結果からラット大腸杯細胞の粘液の性状を検索することは,ヒト大腸病変とくに癌の発生を解析するうえで一つの有用な手段であると考えられた.
  • 上田 光孝
    1983 年 36 巻 6 号 p. 635-644
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    DMH投与ラット大腸に発生した異型上皮,癌腫とこれら腫瘍性病変のみられない粘膜における杯細胞粘液の性状について,H&E染色およびAB-PAS染色,HID-AB染色,MOS染色,8-O-N染色などの各染色を用い,形態的および組織化学的に検索した.
    DMH投与大腸では,12週に異型上皮,16週に腺癌の出現がみられ,構造異型の乏しい高分化腺癌が多数認められた.また組織化学的には,大腸全域でsulfomucinの減少,sialomucinの増加を認め,とくに異型上皮,分化型腺癌では60%にsialomucinが優位であった.またシアル酸では大腸全域でNANA陽性杯細胞は減少し,O-acetyl NANA陽性杯細胞は増加し,異型上皮,分化型腺癌でのO-acetyl NANA陽性杯細胞の出現はそれぞれ90%,80%に認められた.
    以上より,DMH投与により大腸粘膜の粘液産生に異常を来たし,これらの粘膜を発生母地として異型上皮,さらに分化型腺癌の発生することが示唆された.
  • 佐々木 英, 藤見 是, 下河辺 正行, 日高 令一郎, 村山 俊二, 宮園 一博, 豊永 純, 谷川 久一, 森松 稔, 龍 嘉昭
    1983 年 36 巻 6 号 p. 645-649
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    粘血下痢便と腹痛を主訴とする25歳女性.10年前に注腸透視及びロマノスコピーにて潰瘍性大腸炎の診断をうけている.入院時臍下部に腫瘤を触知し注腸透視にて横行結腸に幅広い狭窄をみとめ他の腸管にはハウストラの消失,炎症性ポリープ及び潰瘍を認めた.内科的治療にて軽快せず横行結腸部分切除をうけた.切除標本にては,潰瘍,炎症性polypの多発と筋層の肥厚が著明であった.組織学的にはcrypt-abscess, fissu-ring ulcer全層性の線維性肥厚を認めまた漿膜側にはlymphoid aggregateが見られた.その後再入院し左側結腸切除をうけた.切除標本にては,潰瘍の多発と炎症性polypが認められ,組織学的には粘膜及び粘膜下層の細胞浸潤とcrypt-abscessがみられた.本症例は潰瘍性大腸炎の経過中に横行結腸に幅広い狭窄を認め,組織学的には一部クローン病と類似した所見を呈した意味ある症例と思われる.
  • 1983 年 36 巻 6 号 p. 650-656
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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