日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎におけるsalicylazosulfapyridine (Salazopyrin) の緩解維持効果
千葉 満郎中島 均佐野 正明福士 道夫相沢 中吉田 豊棟方 昭博
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キーワード: 潰瘍性大腸炎, 緩解維持
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1984 年 37 巻 3 号 p. 279-283

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抄録

昭和45年salicylazosulfapyridine (Salazopyrin) が潰瘍性大腸炎に使用されて以来, 本症活動期におけるその有効性はよく知られている.本剤の再燃防止効果の報告は欧米から2, 3報告されているが, 本邦では未だない.Salazopyrinの潰瘍性大腸炎における緩解維持効果について, 教室例でretrospectiveに検討を行った。対象は, 緩解維持を目的として本剤2g/日を服用した51例と, 非服用の48例である.服用群と非服用群の緩解維持曲線の間に有意差はなかった.しかし, 服用期間別にみると, 服用開始7-9ケ月において, 服用群の維持率が77%, 非服用群が58%で有意差があり (p<0.05), また50%緩解維持は, 前者で24ケ月, 後者で12.5ケ月で, 明らかに前者で長かった.これらのことより, Salazopyrinは, 本症の緩解維持に有効であり, 緩解後1年間は服用すべきと考えられた.しかしながら, 2年以上の長期緩解例は非服用群に多く, 今後検討すべき課題と考えられた.

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