日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
半消化態栄養剤のクローン病再燃防止における意義について
遠藤 克博佐藤 恒明鵜浦 章大方 高志渡辺 晃
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 38 巻 3 号 p. 289-293

詳細
抄録

近年,薬物療法,栄養療法の進歩により多くのクローン病は緩解に至ることができるようになったが,問題点は一旦緩解が得られても再び経口食を開始すると容易に再燃することである.そこで再燃防止の目的にて半消化態栄養剤を投与し,半消化態栄養剤のクローン病再燃防止における意義について検討した.活動期に入院したがED,SASP等の治療により緩解に至った5例のクローン病患者を対象とし,外来にて原則として昼,夕は普通食とし,朝就寝前にClinimealまたはHinex-R400kcalずつ計800kcalを投与した.また,薬物療法としてSASPの維持療法を併用した,その結果,5例中2例で再燃を認めたが,他の3例では現在のところ再燃の兆候を認めない.このように半消化態栄養剤はクローン病に対しEDと同様の効果を期待されたが,緩解を維持している例もあるが,必ずしも有効でない例もある.このような症例に対しては,成分栄養剤等他の方法を検討する要があると思われる.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top