日本大腸肛門病学会雑誌
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同年齢に発生した一卵性双生児の上部直腸癌症例
本邦報告例と疾患感受性遺伝子との検討
八木田 旭邦平原 哲也伊藤 久渡辺 寧北島 政樹立川 勲
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1986 年 39 巻 3 号 p. 257-262

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抄録

一卵性双生児の大腸癌2症例を経験した.この2症例は,同時性(73歳)で,発癌部位の一致性が認められた,血液型物質による卵性診断で一卵性双生児の確証を得た.また大腸癌と密接な相関を示す2種類の疾患感受性遺伝子(HLAとGm)によるfamily studyを行った結果,両症例とも大腸癌と有意の相関が認められたHLA-CW3とGm-ab035stを所有するとともにGm遺伝子のg1遺伝子の欠損を認めた.本邦の消化器癌の一卵性双生児例は,自験例も含めて4家系あり,胃癌の2家系と盲腸癌の1家系がある.この全例に癌の家族集積性が認められ,発癌の部位ならびに同時性の傾向が認められた.この事実は発癌と遺伝的要因との密接な関連性を示唆するとともに,家族集積性が認められる発癌遺伝子保因者は,発癌部位と発癌年齢に関し宿命的であることを示唆している.

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