日本大腸肛門病学会雑誌
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内視鏡的ポリペクトミーにより摘出した結腸リンパ管腫の1例
本邦報告例の文献的考察
辻田 和紀柳田 謙蔵吉雄 敏文亀谷 寿彦野崎 達夫竹内 節夫辻本 志朗
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1987 年 40 巻 1 号 p. 40-44

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抄録
患者は20歳男性.腹痛および粘血便を主訴として入院した.入院時所見,入院後の経過検査より,それらの症状は終末回腸のリンパ濾胞増殖症に起因する腸重積によるものと思われた.後日の内視鏡検査にて,脾彎曲部に,表面平滑で光沢,透明感のある腫瘤を認めた.その腫瘤は体位変換圧迫により容易に変形することが内視鏡下に確認された.以上の所見より,粘膜下簍胞とくにリンパ管腫を疑い,内視鏡ポリペクトミーを施行した.摘出腫瘍は,1.2×1.1×0.8cmの嚢胞性リンパ管腫であった.
本邦における大腸リンパ管腫の報告例は,自験例も含め42例と少なく,ポリペクトミー施行例はわずか11例のみである。本邦報告例について若干の文献的考察を加え報告した.リンパ管腫の性状を利用して,もっと積極的に内視鏡的ポリペクトミーを施行すべきと思われた.
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