大腸pm癌の治療方針の確立を目的として,本研究を行った,対象は切除された単発大腸pm癌63例で,sm癌11例,ss,a1癌94例と臨床病理学的に比較検討した.pm癌はその固有筋層への浸潤度により3群(pm1,pm2,pm3)に分類した.発生部位は下部直腸に多く,約半数(52%)を占めた.pm2から潰瘍型が多数を占め,2型の肉眼型はこのレベルで完成すると考えられた.血管侵襲陽性率はpm1 0%,pm2 30%,pm3 32%と高くなり,腫瘤型pm癌15%に対し,潰瘍型pm癌は35%と高かった.リンパ節転移はpm1 0%,pm2 13%,pm3 25%で浸潤度とともに増加し,腫瘤型pm癌は10%でn1転移にとどまるが,潰瘍型pm癌は21%で,n2,n3転移もみられた。累積5年生存率は直腸pm癌80.0%,結腸pm癌93.8%と予後良好であった.以上より大腸pm癌の基本的治療方針はpm1および腫瘤型pm癌はR2のリンパ節郭清で機能温存に努めるべきであり,潰瘍型pm癌はR3の根治術式が妥当と考えられた.