日本大腸肛門病学会雑誌
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肛囲膿瘍に対する一期的括約機能温存根治術
高野 正博藤好 建史日高 久光高木 幸一石見 賀正田中 隆平井 一郎
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1987 年 40 巻 6 号 p. 777-785

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抄録

従来,肛囲膿瘍はまず切開排膿を行い,慢性化した痔瘻になって根治手術を行うことが多かった.しかし私は肛囲膿瘍に対し,優秀な成績が収められるようになった痔瘻に対する括約機能温存術式を応用できないかと考え,過去4年間にわたり314例の膿瘍期手術を行った.すなわち肛囲膿瘍の各型に対して,それぞれ痔瘻に行っている括約機能温存術式を準用して手術を行ってみた.
成績は,対応する痔瘻の各型よりも速やかに治癒している.再発も全症例314例中5例(1.6%)で,各型とも痔瘻の再発よりも少ない.術後合併症も8例(2.5%)であるが,いずれも軽度のものである.
以上,膿瘍に対し括約機能温存術式を応用し一期的に根治術を行い,この結果,病悩期間,入院期問,休業期間が極めて短縮され,再発・合併症の症例も少なかったので報告する.

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