1987 年 40 巻 6 号 p. 791-795
腫瘤核出術4年後再発した直腸平滑筋肉腫の1例を経験した,患者は47歳男性,肛門部痛を主訴として来院した,肛門縁より4cmの直腸に,約1/3周を占める粘膜下腫瘤を認め,腫瘤核出術を施行した,組織診断は平滑筋腫であったが,4年後同部位に再発がみられ,平滑筋肉腫の診断で腹会陰式直腸切断術を施行した.本例の初回手術時の組織所見では,細胞異型は軽度でcellularityは高くなく,核分裂像は0.1/1HPFであった.平滑筋腫瘍の良悪性の診断は時に困難であり,そのような症例に対しては厳重なフォローアップと積極的な手術適応が重要である.