日本大腸肛門病学会雑誌
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ヒト外肛門括約筋の組織学的検討
宮島 伸宜小平 進寺本 龍生石井 忠弘高林 司阿部 令彦
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1988 年 41 巻 3 号 p. 267-272

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抄録

術前に肛門疾患や排便機能異常のない直腸癌の患者8名の手術時に得られた外肛門括約筋を用いて組織学的および酸素組織化学的染色を行った.各筋線維タイプはタイプ1,85.85%,タイプ2A,6.15%,タイプ2B,7.95%とタイプ1線維が有意に多くtype 1 fiber predominanceを示した.筋線維の直径の平均は,タイプ128.4±8.96μm,タイプ2A40.2±9.21μm,タイプ2B 39.4±8.85μmとタイプ1線維の直径が有意に小さかった.またGTR染色で赤染し,NADH-TRおよびSDH染色で強い染色性を示すragged-redfiber(RRF)が45449本の筋線維中297本,0.65%に認められた.このRRFの一部では,cytochrome c oxidase (CCO)の欠損した線維がみられた.外肛門括約筋の性質上,type 1 fiber predominanceは合目的なものと考えられる.RRFの存在,CCOの部分欠損,type 1 fiberの直径が小さい機序や理由は不明であるが外肛門括約筋の筋持殊性と考えられ今後の検討を必要とする.

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