日本大腸肛門病学会雑誌
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高齢者に発症したクローン病の2症例
山下 和良樋渡 信夫三浦 正明中嶋 和幸山崎 日出雄熊谷 裕司鈴木 邦彦
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キーワード: クローン病, 高齢発症
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1988 年 41 巻 3 号 p. 273-277

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抄録

クローン病の発症年齢分布は,20歳台に大きなピークを示すが,われわれは最近,高齢者に発症したクローン病の2症例を経験した.症例1は72歳男性,体重減少,下痢で発症し,回腸末端~下行結腸に敷石像,縦走潰瘍を認めた.症例2は61歳女性で,腹痛で発症し,初診時回盲部腫瘤を触知した.回腸に敷石像と縦走潰瘍,上行結腸に強い狭窄を伴った敷石像,縦走潰瘍を認めた.ともに病変部位より非乾酪性肉芽腫を証明でき,小腸大腸型クローン病と確診した.欧米では高齢発症は8~19%にみられ,遠位大腸炎型が多い,回腸型では初回手術後再発が少ない.確診まで長期間を要する,症状やX線所見には若年発症と差異がない,などの報告がある.自験例における頻度は93例中2例(2.2%)であり,その臨床像は発症年齢が高齢であること以外,若年発症と比較して,症状,臨床検査所見,X線,内視鏡所見,生検所見に差異は認められなかった.

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