日本大腸肛門病学会雑誌
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発見頻度よりみた消化管憩室の検討
-出生コホート分析を含めた当科症例の検討-
棟方 昭博中路 重之岩根 覚太田 昌徳畑田 康政加藤 裕昭土田 成紀佐野 正明吉田 豊T. Aisawa
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1989 年 42 巻 1 号 p. 105-111

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抄録

1972年から1986まで当科で診断した消化管憩室症例を検討した.15年間の各憩室の発見頻度は食道155例, 1.02%, 胃23例, 0.15%, 十二指腸601例, 3.94%, 大腸442例, 4.88%であった.十二指腸, 大腸憩室は年次別にみると増加 (P<0.01) していたが, なかでも大腸憩室が著明であった.また食道, 十二指腸, 大腸憩室ともに加齢による増加がみられた (P<0.01) が大腸憩室は30~50歳代の若年層の発見頻度が高かった.出生コホート別にみると十二指腸憩室, 大腸憩室はほとんどの年代で有意な増加を示したがとくに右側大腸憩室でその傾向が顕著であった.また大腸憩室では出生年の若い群の増加率が十二指腸憩室より高かった.以上より消化管憩室の発生には老化が重要な役割を果たしており, 十二指腸憩室, 大腸憩室, とくに右側大腸憩室ではさらに老化以外の因子の関与も大きいと考えられた.

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