日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の外科療法
疫学調査による
宇都宮 利善高浪 巌鈴木 絋一北洞 哲治篠原 央横田 曄
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1989 年 42 巻 1 号 p. 61-75

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抄録

昭和56年6月末までに潰瘍性大腸炎と診断されて, 登録されている患者は4484例である.これらのうち外科手術を余儀なくされた患者は640例 (14.3%) である.手術をうけた患者の年齢は3歳より79歳までで, 平均年齢は男性33.8歳, 女性38.0 : 歳である.年齢分布は20歳代がもっとも多く, 30歳代, 40歳代がこれについでいる.病悩期間は1年以内40.0%, 1年以上59.1%であり, 5年以上の経過後の手術は14.5%である, 病態分i類では結腸炎型, 活動期, 重症, 再燃緩解型に手術をうける患者が多い.手術様式は緊急手術24.6%, 待期手術50.8%, 残りの24.6%には記 : 載はない.緊急手術の適応は大出血, 穿孔, 腹膜炎などが多く, 待期手術の適応は再燃の繰り返し, 内科治療の限界などが大半を占めている.手術後の死亡率は待期手術6.0%, 緊急手術35.4%であり, 穿孔, 腹膜炎, 中毒性巨大結腸症などを併発した患者の死亡率は高率である.

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