日本大腸肛門病学会雑誌
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80歳以上の高齢者大腸癌の特異性
堀田 芳樹坂根 正芳黒田 勝哉奥本 聡山口 俊昌加藤 道男斉藤 洋一
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1991 年 44 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

60歳以上の大腸癌214例について60歳台,70歳台,80歳以上の各年齢層に群別し,80歳以上19例の特異性について検討した,主症状は80歳以上で腫瘤,イレウスが多く,病悩期間は80歳以上で12カ月以上の症例が有意多かった.大腸癌の家族歴は70歳以上に比べ60歳台で有意に多かった.大腸癌の切除率,治癒切除率は80歳以上で60,70歳台より若干高かった.臨床病理学的検討では各年齢層で明らかな特徴はなく,60歳以上の大腸癌において80歳以上の癌進展が必ずしも軽くないことが示された.術後遠隔成績も80歳以上と他年齢層の問に差はなかった.術前合併症は高齢になるほど多くなり,術後合併症も同様に80歳以上で最も多かった.とくに術後の精神状態異常は80歳以上で多かった,したがって80歳以上の症例であっても術前術後合併症に十分注意し,可能な限り治癒切除をめざすことが大腸癌治療の向上につながると考えられた.

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