日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸癌Miles手術後にみられた局所再発例の臨床病理学的検討
更科 広実井原 真都斉藤 典男布村 正夫中山 肇小田 奈芳紀白井 芳則奥井 勝二
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1991 年 44 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

過去4年間に,直腸癌Miles術後の局所再発と診断された17症例(切除群4例,非切除群13例)を臨床病理学的に検討した,原発癌が下部直腸で,腫瘍長径5cm以上,壁深達度a2以上,ew 2mm以下の症例に多く再発し,再発までの期間は平均32.9±24.2カ月であった.症状は会陰部痛が最も多く,診断にはCTとMRI診断が有用であった.治療別の比較では,切除群に2年以上の晩期再発が多く,再発巣が6cm以下と小さいもので,症状も軽くCEA値の低い時期に診断されていた.再発因子別では,ew因子によると思われる再発8症例中2例が切除群となっていたのに対し,n因子による4症例はすべて非切除群となっていた.非切除の局所要因としては,仙骨S1以上の上方浸潤が最も多く,ついで側方浸潤が多かった.切除群には多くの術後合併症を認めたが,その予後は比較的良好であり,非切除群では大部分が2年未満に死亡し,quality of lifeも不良な症例が多かった.

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