日本大腸肛門病学会雑誌
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閉塞性大腸炎の臨床的検討
牛谷 義秀望月 英隆山本 哲久岡田 晋吾中村 栄秀玉熊 正悦
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1992 年 45 巻 2 号 p. 238-243

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抄録

最近13年間に教室で経験した閉塞性大腸炎15症例に対し臨床的検討を加えた.男性10例,女性5例で平均年齢は61歳(35~78歳)であった.15例のうち14例は大腸癌による閉塞に起因し,残る1例は卵巣癌のS状結腸浸潤による閉塞が原因であった.大腸癌による14例は同期間に教室で経験した大腸癌初回手術例893.例の1.6%に,また大腸癌イレウス症例の14%に相当し,12例までが左側結腸~直腸の癌であった.イレウス症状高度の7例と本症病変部に穿孔を伴った4例および医原性穿孔の計12例に緊急手術が施行された.切除標本上,癌腫と口側の本症病変との間には正常粘膜が介在し,腸間膜反対側の結腸紐に一致して線状潰瘍が認められるものが多かった.病理学的には粘膜下の著しい浮腫と,炎症性細胞浸潤を伴うものが多く,ヘモジデリン貪食細胞を認め長い経過を示す症例もあった.大腸癌による高度狭窄症例では本症の併存,とくに穿孔の合併に充分な注意が必要である.

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