日本大腸肛門病学会雑誌
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45 巻 , 2 号
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  • 板橋 道朗
    1992 年 45 巻 2 号 p. 123-131
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌の手術適応は正確な術前進行度,とくにリンパ節転移診断に基づき選択されることが理想的である.著者は直腸癌64例について,MRIによるリンパ節転移診断の可能性と限界を検討した.傍直腸リンパ節転移診断では, 0.5 teslaMRI装置は正診率95.8%と0.15teslaMRI,CTに比べ最も優れた正診率を示していた・側方リンパ節転移診断では,MRIを用いた新しい断層法(骨盤側壁矢状断像)を開発し検討を行った.本法による脈管の同定率は外腸骨動脈100%,内腸骨動脈100%,内腸骨動脈前枝末梢分岐86.7%,閉鎖動脈100%,閉鎖神経:右60.0%,左86.7%であった.骨盤側壁矢状断像のリンパ節転移正診率は,中直腸動脈根リンパ節転移93.3%,閉鎖リンパ節転移93.3%で,0.5teslaMRI横断像およびCTの両リンパ節を合わせた正診率,各々79.2%,87.3%に比し優れており,有効な診断法と考えられた.
  • 菅谷 義範
    1992 年 45 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移に対する全身化学療法の抑制効果を見る目的で,マウス脾内にColon26細胞を接種し,その後は無処置とした対照群(N=24),接種後9目で摘脾した摘脾群(N=25),UFTとCisplatinによる全身化学療法を行った化学療法群(N=23),摘脾と化学療法を併用した摘脾・化学療法群(N=23)の間で肝転移発現頻度,肝転移数および最大径を比較した.肝転移の発現頻度には4群の間で有意な差を認めなかったが,肝転移数は対照群に比して化学療法群および摘脾・化学療法群で有意な減少を見た.摘脾群でも対照群に比して肝転移数は減少したが,有意な差を見るにはいたらなかった.肝転移最大径は対照群に比して化学療法群,摘脾・化学療法群で有意に小さくなったが,摘脾群では対照群に比して有意に大きくなった.以上の結果から化学療法はColon26細胞の肝転移を防ぐことはできないものの,その増殖を抑制しうることが示唆された.
  • 遠藤 和彦
    1992 年 45 巻 2 号 p. 138-153
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    食餌中の脂肪と繊維が腸内嫌気性菌に及ぼす影響と,大腸癌の発癌過程における経時的腸内嫌気性菌数の変動についてラットを用いて実験的に検討した.ラットは生後8週齢ウイスター系ラット40匹を使用し,I群:高脂肪高繊維食,II群:高脂肪無繊維食,III群:無脂肪高繊維食,IV群:無脂肪無繊維食を投与した.餌料投与開始5週後より各群を5匹づっDMH投与群(Ia, IIa,IIIa, IVa)と対照群(Ib, IIb,IIIb, IVb)に分け,餌料投与開始後4週目(前期),11週目(中期),24週目 (後期)の便中嫌気性菌の定量を行い,30週目に屠殺剖検し大腸腫瘍の検索を行い以下の結論を得た.繊維には糞便単位重量あたりの嫌気性菌数を減少させる作用が,脂肪には増加作用が認められた.DMH投与群は,IIIa群以外では後期(担癌状態)において腸内嫌気性菌数は対照群に比べ低値を示した.大腸発癌の過程において脂肪はinitiation効果を強めることで発癌に促進的に作用し,食物繊維はpromotion効果を弱めることで腫瘍発育に抑制的に作用すると考えられた.
  • 東 光邦
    1992 年 45 巻 2 号 p. 154-160
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    結腸および直腸癌の予後規定因子としての核DNA量およびCEA産生と細胞周期との関連を検討する目的で培養細胞および結腸,直腸癌の手術材料から二重染色法を応用しflow cytometryを用いて核DNA量とCEA量を測定した.病期の進行に伴いaneuploidが多く見られたが,DNAploidy patternと臨床病理学的諸因子,組織型,深達度,脈管侵襲,リンパ節転移,腫瘍径,Dukes分類,血中CEA値のいずれとも有意な相関は認められなかった.細胞周期の各時期における相対的CEA濃度を検討すると,CEAは細胞周期の各時期において連続的に産生されているが,G0/G1期からS期への移行期においては細胞内CEAの濃度は低下し細胞外への分泌が増加していると推定された.
  • 恩田 昌邦, 小沢 義行, 本庄 達哉, 堀 浩司, 炭山 嘉伸
    1992 年 45 巻 2 号 p. 161-168
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    進行性大腸癌80例を対象に大腸癌病巣内のneuroendocrine含有細胞の発現が大腸癌の発育および進展にもたらす意義について免疫組織化学的に検討した.高および中分化型腺癌組織内には,多数の5HT-,中等度のPYY-と少数のSS-immunoreactivec ellsと異常に増生したVIP-immunoreactive nerve fibersの発現が観察された,低分化型腺癌組織内には,小数のPYY-と多数のGUL-immunoreactive cellsが認められた.癌の発生部位別のこれら細胞群は,発生頻度の高い部位に発現頻度と密度も高い傾向が見られた.癌の組織型別による発現状況では,分化度の高い癌ほど発現頻度が高く,かつ密度も高かった。深達度別による発現状況は,深達度の深い癌ほどこれら細胞群はかなり深い層まで出現することが確認された。結論として大腸癌の一部には多種のペプチドやアミンを産生するものもあり,これらが癌の発生,増殖,進展に強く影響を与える可能性が考えられた.
  • 中江 史朗, 裏川 公章, 植松 清
    1992 年 45 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門管(P)に中心を持つ肛門管癌13例と下部直腸(Rb)に中心を持つ下部直腸癌53例を比較検討した,肛門管癌の組織型は粘液癌6例,腺癌4例,扁平上皮癌2例,印環細胞癌1例で,下部直腸癌は94%が腺癌であった。肛門管癌特有の症状として膿性分泌が3例にみられ,うち2例の病悩期間は3年と36年で,いずれも粘液癌であり,後者は痔瘻癌と考えられた.肛門管癌ではaiが3例(23.1%)と,下部直腸癌(12.5%)より高率であった.下部直腸癌はn2-4(+)が25.7%であったが肛門管癌では58.3%と高率で,鼠径リンパ節転移は下部直腸癌が3例のみに対し肛門管癌では6例(46.2%)に出現した.出現時期は原発巣と同時期が2例,6~12カ月の問に2例,他2例は1年以上経て発見された.肛門管癌の5年生存率は29.9%で下部直腸癌切除例62.9%より低く,生存率曲線の比較でも下部直腸癌より不良で,治癒切除は6例(46.2%)のみであった.
  • 落合 匠, 長浜 徴, 榊原 宣
    1992 年 45 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    下痢の際の大腸運動を解明するため,雑種成犬を対象に実験を行った.実験的に下痢が認められる動物実験モデル(全幹迷走神経切離,拘束ストレス負荷)をもちいて各種下痢における大腸運動について経時的X線撮影とstrain gauge force transducer法を用いて大腸運動を記録,検討し以下の結果を得た.下痢の際,正常の大腸分節運動の低下が認められ,giant migrating contraction(GMC)が頻回に認められた.これは下痢の原因のいかんにかかわらず下痢をきたしたすべてに認められた.従来よりいわれている下痢の際の大腸運動亢進は頻回のGMCをとらえていたのではないかと考えられた.また下痢の際における腸管はhypoki-neticではあるが,一方では頻回にGMCが発生するhypersensitiveでhyperreactiveな状態にあると考えられた.
  • 増田 英樹, 谷口 利尚, 林 成興, 中村 陽一, 堀内 寛人, 渡辺 賢治, 林 一郎, 岩井 重富, 加藤 克彦, 田中 隆
    1992 年 45 巻 2 号 p. 182-187
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸多発癌の病態を把握し大腸癌全体の予後向上に役立てるために,本研究を行った.1981年1月から1990年12,月までの10年間に経験した大腸多発癌は47例(同時性38例,異時性9例)であり,同時期の大腸癌手術例835例の5.6%に相当した.進行度や異時性多発癌の発現時期から判断すると,同時性に発生したものを見逃して異時性として扱った症例がいくつかある可能性が推察された.腺腫の併存は20例(42.6%)にみられ,単発大腸癌の14.0%(105/749)より有意に高率であった(p<0.01).また3親等以内に癌家族歴を有する症例は,多発癌47例中22例(46.8%)で,単発大腸癌23.9%(179/749)と比較して有意に高率であった(p<0.01).多発癌の予後は単発癌とほぼ同等であった.以上より大腸多発癌は何らかの遺伝的因子が関与していると思われるが,carcinoma in adenomaを含めた同時性多発癌の発見や第2癌の早期発見は多発癌の予後向上につながると考えられた.
  • 辻 順行, 高野 正博, 藤好 建史, 高木 幸一, 河野 通孝, 藤吉 学, 橋本 正也, 藤本 直幸, 佐々木 俊治, 前川 忠康, 吉 ...
    1992 年 45 巻 2 号 p. 188-195
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1990年1月より1990年12月までの間に当院外来を受診した83例の肛囲膿瘍の膿汁より分離同定された144株の細菌を対象し,細菌学的検討と有効な抗生剤投与法の検討を行いつぎの結果を得た.(1)感染の内訳は,単独感染から4感染まで存在し,2種感染が55.4%と最も多かった,(2)好気,嫌気性菌別では,好気性菌のみの感染症例が40.0%,嫌気性菌のみの感染症例は10.8%,好気,嫌気性菌の混合感染症例は49.2%で混合感染の症例が最も多かった.(3)144株の中では,E.coli 38.4%, Bacteroides sp. 23.6%, Klebsiella sp. 11.8%,嫌気性グラム陽性球菌8.3%の順で多く,この4種の菌で全体の82.1%を占めた.(4)各肛囲膿瘍中の嫌気性菌の占める割合は,IIL:55.6%, IIH:66.7%,III:66.7%, IV:80.0%で,深部肛囲膿瘍ほど嫌気性菌の分離率が高かった.(5)抗生剤の投与法は,上記の4種の細菌で全体の82.1%を占めることより,この4種の菌に全般的に有効な抗生剤を投与すべきで,第2世代セフェム系(CMZ)とテトラサイクリン系(MINO)が最も適当と思われた.
  • 湯川 雅彦, 藤盛 孝博, 里中 和廣, 前田 盛
    1992 年 45 巻 2 号 p. 196-201
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸表面型腫瘍19例,隆起型腫瘍21例を対象にras遺伝子産物およびp53の免疫組織学的検討を試みた.ras遺伝子産物の陽性率は表面型ではcarcinoma, high grade dysplasia, low grade dysplasiaすべて0%であった.隆起型ではcarcinoma 66%, high grade dysplasia 88%, low grade dysplasia 0%であった.p53の陽性率は表面型ではcarcinoma 50%, high grade dysplasia 20%,low grade dysplasia 0%.隆起型ではcarcinoma 50%, high grade dysplasia 50%, low grade dysplasia 0%であった.このことから表面型大腸腫瘍の発癌にはrasの関与は少なく,p53は隆起傾向を示す病変と同様,表面型においても発癌に関与することが示唆された.
  • 川口 米栄, 二川 憲昭, 石原 行雄, 小西 宏育, 原 宏介, 富山 次郎
    1992 年 45 巻 2 号 p. 202-208
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.左殿部腫瘤を主訴として来院.CT,MRIにて,直腸壁に接し,左坐骨直腸窩を占め,頭側は仙骨前面に達し,娘結節を有する内部構造不均一な10×7×5cmの腫瘤が認められた.血管造影では,左下殿動脈の分枝により栄養された,非常に血管に富んだ腫瘍で,拡張した流出静脈がみられた.手術では,左内腸骨動静脈を一時的にクランプし腫瘍を摘出した.迅速病理診断にて血管肉腫と診断されたため,根治目的でマイルズ手術を施行した.永久標本ではmalignant hemangiopericytomaと診断された.術後1年5カ月の現在,再発,転移の徴候はみられない. hemangiopericytomaは比較的稀な腫瘍であり,本邦での後腹膜発生は38例が文献にみられた.
  • 向井 正哉, 野登 隆, 安田 聖栄, 堀江 修, 池田 正見, 徳田 裕, 田島 知郎, 三富 利夫
    1992 年 45 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,女性.1984年1月19日,第1子出産.新生児には異常を認めなかった.その後子宮の収縮が遅いといわれていたが,同2月9日退院となった.退院後同2月12日より心窩部不快感が出現し,分娩後の1カ月健診にて下腹部に子宮外腫瘤を指摘され当院紹介入院となった.入院後腫瘤は急速に増大しほぼ全腹部を占拠するようになった.諸検査の結果,下行結腸癌,両側卵巣転移と診断し同3月7日手術を施行した.大腸癌は下行結腸に鶏卵大の腫瘍として認められ〔P2H0N3S2(p2n2se)〕,左半結腸切除(R2)+単純子宮摘出,両側卵巣,付属器切除術を施行した.摘出卵、巣重量は3,000gにもおよび被膜が一部破綻していた.このため術後自家骨髄移植を併用した大量化学療法を計2回施行したが病勢は進行性であり術後全経過約1年半で永眠となった.今回われわれは,分娩後急速に増大したきわめて稀な若年大腸癌両側卵巣転移の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 薬師寺 浩之, 佐藤 裕, 馬島 英明, 伊山 明宏, 中城 博見, 樋高 克彦, 久次 武晴
    1992 年 45 巻 2 号 p. 214-218
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    回腸の悪性リンパ腫に起因する成人の腸重積症を経験したので本邦報告例の集計と検討を加えて報告する.症例は76歳,男性で,主訴は数回の粘血下痢便.同症状にて近医に入院,注腸造影にて回腸末端部の腸重積症と診断され,当科に転科入院.画像所見から小腸重積症と診断し,回腸部分切除を施行した.重積腸管の内筒の先端付近に大きさ2cm大の山田III型のポリープ様病変を認め,病理組織学的に,びまん性大細胞型の悪性リンパ腫と診断.術後多剤併用化学療法を2クール施行し,術後35カ月経過した現在,再発の徴候なく健在である.腸重積をきたした悪性リンパ腫の本邦報告例をみると,術前にリンパ腫によると診断されたものは65例中3例に過ぎなかった.成人にみられる小腸の腸重積は慢性的に経過することが多く,特異的な症状に乏しいため確定診断に至ることが困難なことが多い.本症の診察に際しては,器質的疾患,とくに悪性腫瘍の存在を念頭に置くことが重要と思われた.
  • 正宗 淳, 緑川 浩資, 佐竹 賢三, 岡野 健, 黒田 房邦, 小林 信之
    1992 年 45 巻 2 号 p. 219-223
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    抗生剤の進歩などにより門脈系由来の肝膿瘍は減少し臨床で遭遇することは稀となっている.われわれは肝膿瘍を合併した大腸癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は69歳,男性.発熱および右上腹部痛を主訴に来院,腹部超音波ならびにCTにて肝膿瘍と診断し抗生剤の投与を開始した.その後便潜血反応陽性の精査のため下部消化管検査を実施,S状結腸に2'型大腸癌を認めた.このため根治目的に前方切除術ならびに肝膿瘍切開術を施行した,膿瘍壁は肉芽組織であり組織学的には門脈炎性の肝膿瘍であった.大腸癌による肝膿瘍の形成は腫瘍の腸管壁破壊により腸管内細菌が経門脈性に肝に感染巣を形成するためと推測され,悪性腫瘍の存在による免疫能の低下に加え高齢,糖尿病などの全身的因子の低下もその要因となると考えられる.近年の大腸癌の増加に伴い,肝膿瘍の原因疾患として大腸癌の可能性をも念頭に置いて検索する必要があろう.
  • 高橋 利通, 笠岡 千孝, 小林 俊介, 田村 寿康, 国崎 主税, 大久保 賢治
    1992 年 45 巻 2 号 p. 224-227
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌の症状としては下血,血便,排便困難が多くみられるが,直腸癌が子宮と瘻孔を形成し,子宮留膿腫として発症することは比較的稀である.ここに報告する症例は64歳の女性で,発熱,下腹部痛,帯下を主訴に1991年7月,当院婦人科に入院となった.帯下に糞便が混じるようになり,腹部CT,注腸造影,大腸内視鏡検査でRs,全周性の直腸癌と診断した.低位前方切除術,子宮卵巣合併切除術を行った.切除標本では腫瘍と子宮体部は癒着しており,腫瘍の潰瘍底と瘻孔を形成していた.病理組織所見では高分化腺癌で癌の子宮筋層への浸潤が認められ,251番に1個転移が認められた.術後経過は不良で中心静脈栄養法による高度のアシドーシス合併により,意識障害をきたし,術後3週間で死亡した.剖検では腹壁の皮下膿瘍と肝臓の脂肪変性のみ認めた.
  • 永井 裕司, 池原 照幸, 加藤 保之, 大平 雅一, 金 光司, 山本 嘉治, 新田 敦範, 前田 清, 奥野 匡宥, 曽和 融生, 田中 ...
    1992 年 45 巻 2 号 p. 228-233
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    大腸リンパ管腫は比較的稀な疾患である.今回,われわれは内視鏡的に診断しえた2例の大腸リンパ管腫を経験した.症例1は51歳,男性で,脾彎曲部に13mm大のX線透過性の良いポリープを指摘された.大腸内視鏡ではcushion sign陽性の表面平滑な白色調亜有茎性腫瘤で,内視鏡的には大腸リンパ管腫と考えられ,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.組織学的には海綿状リンパ管腫であった.症例2は50歳男性で,横行結腸に35×35mm,半球状の表面平滑な粘膜下腫瘍様の内視鏡所見を呈したが,周囲とくらべ透明感があった.cushion sign陽性で,生検鉗子にて穿破したところ,透明な液が流出し,隆起は消失し,リンパ管腫が疑われた.大腸リンパ管腫は良性疾患であり,本症を念頭においた注意深い観察により,術前診断も可能となり,合併症さえなければ内視鏡的にポリペクトミーや穿刺吸引あるいは経過観察で良いと思われた.
  • 長谷川 寛
    1992 年 45 巻 2 号 p. 234-237
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    著者の考案した消化管吻合器の転用により,内痔核手術の半閉鎖部分の結紮切除操作の自動化を計り,また末変性ゼラチン由来のゼラトフィルム(Gelato一film)の止血効果および創傷粘着作用を期待してこれを採用し,内痔核160例に対し施行した.出血,疼痛および術後狭窄のないことを立証できたので報告する.
  • 牛谷 義秀, 望月 英隆, 山本 哲久, 岡田 晋吾, 中村 栄秀, 玉熊 正悦
    1992 年 45 巻 2 号 p. 238-243
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    最近13年間に教室で経験した閉塞性大腸炎15症例に対し臨床的検討を加えた.男性10例,女性5例で平均年齢は61歳(35~78歳)であった.15例のうち14例は大腸癌による閉塞に起因し,残る1例は卵巣癌のS状結腸浸潤による閉塞が原因であった.大腸癌による14例は同期間に教室で経験した大腸癌初回手術例893.例の1.6%に,また大腸癌イレウス症例の14%に相当し,12例までが左側結腸~直腸の癌であった.イレウス症状高度の7例と本症病変部に穿孔を伴った4例および医原性穿孔の計12例に緊急手術が施行された.切除標本上,癌腫と口側の本症病変との間には正常粘膜が介在し,腸間膜反対側の結腸紐に一致して線状潰瘍が認められるものが多かった.病理学的には粘膜下の著しい浮腫と,炎症性細胞浸潤を伴うものが多く,ヘモジデリン貪食細胞を認め長い経過を示す症例もあった.大腸癌による高度狭窄症例では本症の併存,とくに穿孔の合併に充分な注意が必要である.
  • 神野 正博, 坂本 浩也, 月岡 雄治, 高野 靖, 黒阪 慶幸, 山口 明夫, 米村 豊, 三輪 晃一, 宮崎 逸夫
    1992 年 45 巻 2 号 p. 244-247
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当科で初回手術を経験した497例の大腸癌症例のうち,低分化腺癌は21例(4.2%)であった.この低分化腺癌の臨床病理学的所見,DNA ploidy patternおよび予後を高・中分化腺癌と比較検討した,低分化腺癌症例は高・中分化腺癌症例に比較して男女比,平均年齢,DNA ploidy patternに差はなかったが,占居部位で右側大腸に多い傾向にあり,有意に浸潤型の腫瘍肉眼形態を呈するものが多かった.また1例のsm早期癌症例を経験したが,有意に壁深達度,リンパ節転移の進行したものが多かった.約半数の症例で,非治癒切除に終っており,その非治癒因子としてリンパ節転移,腹膜播種が高率に認められた.予後は不良であったが,治癒切除症例では高・中分化腺癌に比べ差が認められなかった,以上より,低分化腺癌の場合も他の組織型同様,早期発見と治癒切除の可否が予後向上の上で重要であると思われた.
  • 牧角 寛郎, 塗木 健介, 今給黎 茂, 牧角 仙烝, 石沢 隆, 島津 久明
    1992 年 45 巻 2 号 p. 248-253
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    近年,本邦において増加傾向にある大腸癌の早期発見・早期治療を目的とし,大腸癌集団検診が行われている.今回われわれは,早期発見・早期治療を目指して免疫学的便潜血反応(RPHA・1日法)と問診票を用いた地域大腸癌集団検診を行った.当初の対象4,930名のうち3,536名に一次検診を行い,9例の大腸癌(早期癌5例,進行癌4例)が発見され,発見率は0.3%であった.発見大腸癌9例のうち,便潜血反応陽性例は5例であり,そのほかの4例は問診票によって拾い上げられた症例であった.すなわち,今回われわれは免疫学的便潜血反応(RPHA)による1日法を施行したが,逐年検診が徹底するまでは,問診票を加えることが集検のスクリーニング効果を高めるのに役立つことが示唆された.
  • 高野 正博
    1992 年 45 巻 2 号 p. 254-258
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸肛門病センター高野病院の開設10周年に当たり,日本大腸肛門病学会の後援を得て直腸肛門に関するシンポジウムを計画した.その目的は,現時点での直腸肛門学のメインテーマと問題点,レベルを確かめ,21世紀への展望を得ることにあった.このため欧米の著名な施設よりトップクラスの講師12人を選び,日本の代表的な12人の専門医にコーチェアマン,シンポジストを依頼し,韓国からも1人お願いした.日本や韓国の主だった先生方,また台湾シンガポールなどより約200名の参加があった.テーマとしては(1)痔核,(2)痔瘻,(3)直腸脱,(4)括約不全,(5)裂肛,(6)クローン病に伴う肛門疾患,(7)outlet obstruction syndromes,(8)生理機能検査の8つを選び,1991年9月20日と21日,熊本にて開催した.痔核に関しては,入院期間の短縮,究極的には機能を保存した術式が選択され,外来にて根治手術を行うまでに至っている.痔瘻に関しては,Se-tonあるいは筋肉弁移動術などを応用して可及的な括約筋温存術を行う.直腸脱に関しては,括約不全を伴っており,これも同時に治療すべきである.括約不全は,括約筋の障害と支配神経の障害の2つに分けられ,術前の客観的評価が必要である。裂肛に関しては,内括約筋側方切開が優れている,クローン病に伴う肛門病変に関しては,比較的保存的な治療と比較的radicalな治療を行う二派がある.outlet obstruction syndr-omesに関しては,客観的に把握する術前検査が必要であり,種々の疾患が包含されている.biofeedbackが多くの症例で有効であった.生理機能検査に関しては,種々の手段を組み合わせて行う,即ち直腸肛門機能検査室の設立,そのデーターの有効な分析などが討論された.将来の直腸肛門疾患の診断,病態の解明,治療の面で示唆するものが非常に多く,大変有益な会であったと好評を得た
  • 1992 年 45 巻 2 号 p. e1
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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