1994 年 47 巻 4 号 p. 336-342
クローン病は,再発,再燃を繰り返す難治性の炎症性腸疾患であり,外来でのフォローアップは極めて重要である.しかし,その検査として大腸内視鏡,注腸などは侵襲が大きく頻回に繰り返すことが困難である.そこでわれわれは,クローン病64例に侵襲のない腹部超音波(US)を応用した.異常所見として,(1)大腸壁の肥厚30例,(2)小腸壁の肥厚16例,(3)小腸拡張4例,(4)瘻孔形成4例,(5)膿瘍2例,(6)塊状小腸1例,(7)腹腔内出血1例,が確認された.腸管壁の肥厚は,US上全層の低エコーとして描出され大腸壁は7.5±2.lmm,小腸壁は6.6±1.9mmであった.この肥厚の程度はCRPと有意な相関を示した.また活動期において開腹手術施行群は,内科的治療軽快群に比し高度の壁肥厚を認め,内科的治療軽快群は治療により有意の壁肥厚の減少がみられた.USは,壁肥厚を指標にすることによりクローン病のフォローアップおよび緩解の判定に極めて有用な検査法であると思われた.