日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
クローン病のフォローアップに対する腹部超音波検査の応用
菊池 隆一高野 正博高木 幸一藤好 建史藤本 直幸野崎 良一江藤 公則大湾 朝尚紀伊 文隆田中 聡也
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 47 巻 4 号 p. 336-342

詳細
抄録

クローン病は,再発,再燃を繰り返す難治性の炎症性腸疾患であり,外来でのフォローアップは極めて重要である.しかし,その検査として大腸内視鏡,注腸などは侵襲が大きく頻回に繰り返すことが困難である.そこでわれわれは,クローン病64例に侵襲のない腹部超音波(US)を応用した.異常所見として,(1)大腸壁の肥厚30例,(2)小腸壁の肥厚16例,(3)小腸拡張4例,(4)瘻孔形成4例,(5)膿瘍2例,(6)塊状小腸1例,(7)腹腔内出血1例,が確認された.腸管壁の肥厚は,US上全層の低エコーとして描出され大腸壁は7.5±2.lmm,小腸壁は6.6±1.9mmであった.この肥厚の程度はCRPと有意な相関を示した.また活動期において開腹手術施行群は,内科的治療軽快群に比し高度の壁肥厚を認め,内科的治療軽快群は治療により有意の壁肥厚の減少がみられた.USは,壁肥厚を指標にすることによりクローン病のフォローアップおよび緩解の判定に極めて有用な検査法であると思われた.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top