日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
Blue Rubber Bleb Nevus症候群の1例
大田 貢由大木 繁男舛井 秀宣池 秀之山口 茂樹嶋田 紘江口 和哉下山 潔原 正造
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 49 巻 2 号 p. 155-160

詳細
抄録

33歳, 女性.18歳と24歳のとき鉄欠乏性貧血のため輸血を受けた.大腸検診で便潜血陽性を指摘され, 大腸内視鏡検査を行ったところ血管腫が認められた.皮膚と口腔粘膜にも血管腫があり, さらに小腸造影でも血管腫があった.貧血は消化管血管腫からの出血によるものと考え, 血管腫の切除を目的として開腹術を施行した.漿膜面からの観察で小腸に27ヵ所, 大腸に7カ所, 肝臓に3カ所血管腫を認めた.大腸の血管腫のすべてを切除し, 小腸に存在する直径1.0cm以上の血管腫は腸管を切開し切除, 1.0cm以下はZ縫合をかけて血流を遮断した.術後3年間の経過観察で貧血もなく消化管の検索で再発を認めていない.Blue Rubber Bleb Nevus症候群は皮膚血管腫に消化管血管腫が合併し下血をきたすものをいい, 本邦では67例が報告されている.この症候群では食道から直腸まで全ての腸管に存在する可能性があり, 全消化管の検索が必要である.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top