日本大腸肛門病学会雑誌
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肛門周囲巨大尖圭コンジローマ(Bushchke-Lowenstein tumor)の1例
佐原 博之岸本 圭永子仁丹 利行松下 昌弘秋山 高儀冨田 冨士夫斎藤 人志高島 茂樹
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1998 年 51 巻 2 号 p. 86-91

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抄録

肛門周囲に発生した巨大尖圭コンジローマの1例を経験したので報告する.患者は56歳,男性.肛門痛および肛門周囲腫瘤を主訴に来院,当院皮膚科で凍結療法および5-FU軟膏治療を受けたが症状は改善せずむしろ増悪傾向を示したため紹介された.腫瘤は肛門を取り囲むようにみられ,12×7cm大,カリフラワー状で弾性軟,悪臭を伴う灰白色の腫瘤があった.生検結果は尖圭コンジローマで悪性所見はみられなかった.手術は,腫瘤より約5mm離して肛門管を中心に環状に皮下組織を含めて腫瘍切除を行った.再建には皮膚欠損部の上下を縫合閉鎖し,その後過度の緊張がかからない状態で皮膚と肛門移行上皮とを縫合した.なお創部の安静を図るため横行結腸を用いて人工肛門を造設した.病理組織所見では表皮の肥厚と乳頭状増殖を認めるが基底細胞層の乱れや異型性はなかった.術後経過は良好で3カ月後に人工肛門を閉鎖し,1年6カ月を経過した現在,再発の兆候はなく排便機能も良好である.

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