日本大腸肛門病学会雑誌
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深部大腸病変予測におけるS状結腸内視鏡検査の有用性
辻 順行高野 正博野崎 良一
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1998 年 51 巻 8 号 p. 547-554

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抄録
平成5年から7年までに実施したS状結腸内視鏡併用の大腸癌検診において判明した下部大腸の無症候性大腸ポリープ247例を対象として深部大腸の精査を行い以下の結果を得た。(1)下部大腸ポリープを大きさ,病理よりA群(5mm未満群),B群(5から9mm),C群(進行性病変)に分け深部大腸病変との関係を調べた.その結果,C群はA,B群に比較して有意に病変の合計および要治療病変の頻度が高かった.(2)ポリープの個数よりD群(1個病変),E群(2個病変),F群(3個以上病変)に分け同様に調べたが,個数による有意差は認められなかった.(3)性差から病変の合計を比較すると,男性は女性よりも有意に高かった,(4)年齢から病変の合計および要治療病変の頻度を比較すると,病変の合計の頻度において50歳以上群は50歳未満群よりも有意に高かった,(5)年齢因子を含めて,再度下部大腸病変の大きさ,個数と,深部大腸病変との関係を検討すると,50歳以上群でC群はA,B群より要治療病変の頻度において有意に高かった.また個数においては,特記すべき結果が得られなかった.
以上より大腸の検査の進め方としては,まずS状結腸内視鏡検査を行い,その所見より深部大腸の検査を行う症例を選択する。またポリープの大多数を占める5mm未満のポリープに対しては,患者の性(男性)・年齢(50歳以上)を参考にして深部大腸検査を行えば効率的かっ効果的な大腸の精査が可能と考えられた.
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