日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎とCrohn病の父子発生例
中嶋 均村元 和則奈良 秀八州芳賀 陽一
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1998 年 51 巻 8 号 p. 573-580

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抄録

Crohn病と潰瘍性大腸炎の家族内発生は特発性炎症性腸疾患の成因,とくに遺伝的成因を究明する上で注目されている.筆者らは潰瘍性大腸炎とCrohn病の父子発生の1家系を経験した.症例1は25歳の男性,増悪する腹痛に対して開腹手術を施行し,その手術所見および手術標本の組織所見よりCrohn病と診断された.症例2は症例1の父で息子(長男)のCrohn病発症4年経過後に,粘血便を主訴として受診し,大腸内視鏡および生検組織所見にて潰瘍性大腸炎と診断した.本邦においては,Crohn病と潰瘍性大腸炎の異種の炎症性腸疾患の家族内発生例はこれまで6例と稀である.この家系におけるHLA検索ではこれまで同種の家族内発生例で示唆されているような一定の表現型を指摘し得なかった.

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