日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌肝転移症例の検討
馬場 秀文渡辺 稔彦板野 理神野 浩光鈴木 文雄大高 均守谷 孝夫三浦 弘志今井 裕
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1999 年 52 巻 2 号 p. 169-178

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抄録

大腸癌肝転移89例を対象としてその臨床・病理学的特徴,治療成績ならびに残肝再発について検討して,以下の結果が得られた.
1)大腸癌から肝転移をきたす危険因子としては壁深達度,リンパ節転移ならびにリンパ管侵襲が有意な因子であった.2)同時性および異時性肝転移切除群の5生率はそれぞれ36.1%, 40.1%であった.一方, 非肝切除群では5年生存例は認められなかった.3)肝切除後の残肝再発は41%(14/34例)で,再発までの期間は10か月以内であった.残肝再発14例のうち7例に再肝切除が行われ, 治療後の生存期間は11か月から29か月(生存中)で, 非再切除群に比較して予後は良好であった.
以上より大腸癌肝転移症例の遠隔成績を向上させるためには1)肝転移巣の正確な局在診断および積極的な肝切除術,2)リザーバーなどによる予防的肝動注を含めた再発予防,3)肝転移切除後の残肝再発例に対して積極的な再肝切除が重要と思われた.

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