日本大腸肛門病学会雑誌
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体外式超音波検査による大腸運動機能評価の試み
河原 秀次郎平井 勝也青木 照明
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1999 年 52 巻 2 号 p. 91-97

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抄録

これまでヒト大腸の運動機能を評価する際だって有用な方法はなかったが,今回著者らは大腸鏡を用いて大腸腸管内を生理的食塩水で満たし,その後体外式超音波検査を行いreal timeな画像として大腸の運動機能の評価を試みた(water sealed method).健常者では盲腸~下行結腸の半月ヒダは約2.5cm間隔に存在し,その位置は時間の経過とともには変化せず,一定の位置に存在していた.また積極的な蠕動運動は盲腸~上行結腸にだけ認められ,他の結腸では受動的に腸内容だけが移動していた.横行結腸~下行結腸の腸内容の移動は,半月ヒダとhaustraによって仕切られた2~3segmentを1単位とし肛側と口側を単振動しながら徐々に肛側に移動していった.一方,便秘症者では明瞭な半月ヒダおよびhaustraは観察されず,neostigmine負荷試験にも反応がみられなかった.よって腸内容の移動に半月ヒダおよびhaustraの緊張が強く関与しているものと考えられた.

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