1999 年 52 巻 6 号 p. 499-504
皮膚筋炎は癌腫の高危険群とされ, 種々の癌腫との合併が報告されているが, 癌手術後の皮膚筋炎の病勢は軽快するとの報告としないとする報告がある.今回著者らは, 皮膚筋炎に合併した大腸癌肝転移症例で, 大腸手術, 肝手術と段階をおって皮膚筋炎の症状が軽快した1例を経験した.その後再発し, 2年間の経過を観察したが, 癌の病勢とともに皮膚筋炎症状も推移する傾向があった.1990年以降の皮膚筋炎に合併した大腸癌手術症例の報告例は自験例を含め検索し得た限りでは17例で, 1例を除き, すべての症例でなんらかの術後皮膚筋炎症状の軽快が見られている.