日本大腸肛門病学会雑誌
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5. Cap polyposisと粘膜脱症候群
赤松 泰次
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2001 年 54 巻 10 号 p. 950-954

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抄録

Cap polyposis は Williams らによって報告された大腸の炎症性疾患で,特徴的な臨床所見と病理組織所見を示す.原因は大腸運動機能異常に伴う慢性的な機械的刺激説が有力で,粘膜脱症候群との異同が問題になる.報告例と自験例の18例について検討した.年齢は20歳から76歳(平均46.9歳)で好発年齢はなく,男女比は5:13と女性に多い.症状は粘液下痢や粘血便が最も多い.血液検査では低蛋白血症を認める症例が多く,炎症反応は通常陰性である.内視鏡所見は直腸からS状結腸にかけて広基性の多発性炎症性ポリープを認め,病変の表面は発赤と粘液の付着がみられる.病変周囲にしばしば白斑が認められ,介在粘膜はほぼ正常である.治療は5-ASA製剤やステロイドは無効で,メトロニダゾールが有効な症例がある.外科的手術を行なっても短期間に再発する場合が多い.

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