日本大腸肛門病学会雑誌
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下痢原性大腸菌O-153による大腸突孔の1例
平 康二菱山 豊平中村 豊加藤 紘之
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2001 年 54 巻 2 号 p. 95-99

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抄録

症例は16歳,男性.約7日前に半調理状態の焼肉を摂取し,その後,腹痛,下痢,発熱が出現したため某医を受診し,急性腸炎の診断で治療するも症状が改善しないため当科を紹介された.腹部X線,腹部CTでは腹水貯留,麻痺性イレウスの像を呈していた.汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.開腹すると右側結腸は蜂窩織炎に陥り,盲腸に穿孔を認めたため,右側結腸切除術を行った.術後前医で提出された便培養の結果vero毒素陰性の下痢原性大腸菌O-153が検出され手術所見とあわせて本例をvero毒素陰性の下痢原性大腸菌O-153による大腸炎に起因した大腸穿孔と診断した.組織学的には粘膜に一部びらんを認め,全層性の蜂窩織炎と粘膜下層の小静脈に血栓形成を認めた.本例は血栓性微小血管症による二次的変化として腸管の虚血,穿孔を来したものと推察された.

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