2001 年 54 巻 4 号 p. 239-246
Hand-assisted laparoscopic surgery(以下HALS)が及ぼす生体侵襲を種々のパラメーターから測定し,従来手術法と比較し患者が受ける臨床効果について評価を行った.対象は大腸癌手術症例28例とし,HALS群15例,開腹手術群13例について手術時間,出血量,創の長さ,排ガスまでの日数,術前後のWBC値・CRP値・IL-6値,鎮痛剤の使用頻度,合併症および加速度センサーを用いた総括的身体活動量についてprospectiveに比較検討を行った.HALS群は出血量,術後排ガスまでの日数,術後24時間でのIL-6値,術後の鎮痛剤の使用回数において有意差を認めた(p<0.05).加速度センサーを用いた身体活動量測定による術後活動量の回復度もHALS群は有意に良好であり,術前の活動量の90%まで回復する日数も短かった(p<0.0001).HALSは従来の開腹手術と比較し低侵襲であった.HALSを用いることでより良い臨床効果を得られる可能性が示唆された.