日本大腸肛門病学会雑誌
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Crohn病に対する症状別副腎皮質ステロイドの初回投与量について
長浜 孝櫻井 俊弘古賀 有希蒲池 紫乃平井 郁夫佐藤 茂真武 弘明松井 敏幸八尾 恒良
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2003 年 56 巻 6 号 p. 273-278

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抄録

Crohn病 (CD) に対するprednisolone (Predonine®; PSL) の適切な初回投与量を検討した.
対象 : 外来通院中にPSLが投与されたCD患者45例, 84回のPSL治療.
方法 : 症状別に初回1日投与量と経時的累積症状消失率を算出した.
成績 : 下痢ではPSL初回投与量0.5mg/kg以上 (初回投与量 : 28.3±6.0mg/日) の群が有意に高率, 早期に症状が消失したが (p<0.006), 0.75mg/kg以上投与しても有意差はなかった (p=0.140). 腹痛では0.75mg/kgから1.03mg/kg(30.0±5.8mg/日)の群が有意に高率, 早期に症状が消失していた. 食欲不振・全身倦怠感, 発熱, 関節痛・結節性紅斑は0.24mg/kgから0.49mg/kg未満(30.0±5.8mg/日)の群とそれ以上の量の群とで累積症状消失率に差はなかった (p=0.818).
上記成績に考察を加え, PSLの初回1日投与量は, 下痢に対しては30mg, 腹痛には35mg, 食欲不振・全身倦怠感, 発熱, 関節痛・結節性紅斑には15~20mgを目安とし, 体重, 活動指数によって増減するのが適切と考えた.

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