日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
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腟,子宮,膀胱脱にrectocele, peritoneoceleおよび肛門括約筋不全をともなった症例に対する治療経験
前田 耕太郎丸田 守人花井 恒一佐藤 美信升森 宏次松本 昌久小出 欣和松岡 宏次岡本 規博勝野 秀稔中村 悟古賀 崇石川 太郎船橋 益夫小石 奏子廣田 穣
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2004 年 57 巻 2 号 p. 81-85

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抄録
症例は51歳の女性で,3回の分娩後13年間の腟および子宮の脱出を主訴に来院した.排尿障害および尿失禁,便秘,軟便時のsoilingも認めた.腟および子宮は腟口より約10cm突出し,肛門括約筋は分娩時の会陰裂傷のため前方で約1/4周断裂していた.排便造影ではrectoceleを認めた.腟,子宮,膀胱脱,rectoceleおよび肛門括約筋断裂による括約筋不全の診断で,腟式子宮全摘出術,前腟壁形成術,anterior levatorplasty,肛門括約筋形成術を施行した.術中,肛門近傍まで下垂した腹膜を認めたためperitoneceleと診断し,余剰の腹膜を切除縫縮した.両側附属器の切断部は最深部の腟断端に固定し,腟を通常の位置に戻した後,腟側壁の裏側を深部から5カ所肛門挙筋に固定した.術後経過はほぼ良好で,症状も消失し,術後半年後の現在,腟・子宮・膀胱脱の再発もない.
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