日本冠疾患学会雑誌
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原著
冠動脈バイパス術の腎機能評価における術前シスタチンC測定の意義
西村 好晴本田 賢太朗湯崎 充仲井 健朗打田 俊司岡村 吉隆
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2014 年 20 巻 2 号 p. 107-110

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抄録
【背景】血清シスタチンC(Cys C)は血清クレアチニン(Cr)に比較し性差,年齢,筋肉量の影響を受けにくい新たな指標であるが,保険算定上,周術期の腎機能評価には制限がある.【目的】今回我々は冠動脈バイパス症例において術前にCys Cを測定することの意義につき検討した.【対象】単独冠動脈バイパス術55例を対象とした.推算糸球体濾過量(eGFR)が60 ml/min/1.73 m2以上の25例をCysが正常(≤0.9 mg/l)であるgroup A 16例と高値(>0.9)であるgroup B 9例に分類し,術後の腎機能を比較した.【結果】Group Bではgroup Aに比較し術後1カ月以内の最高Crは有意に高値を示し,術後1カ月以内の最低eGFRは有意に低値を示した.【結論】術前のCr,eGFRが保たれている症例であってもCys Cが高値を示す症例では術後の腎機能障害に注意が必要である.
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© 2014 日本冠疾患学会
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