材料と環境
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論文
炭素鋼の淡水腐食のMT法による評価
熊谷 克彦梅村 文夫額賀 孝訓
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2006 年 55 巻 5 号 p. 193-200

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抄録
本研究では, 国内外各地で飲料水用として採取されている自然水を各地から取り寄せ, 炭素鋼の回転腐食試験を実施した. 確認された腐食挙動は以下の5種類, すなわち (1) 腐食なし, (2) 孔食, (3) 全面腐食, (4) 孔食in全面腐食, (5) 不均一腐食の変形, に大別された.
さらに, その結果を多変量解析手法の一種であるマハラノビス・タグチ法 (MT法) を用いて整理し, 各サンプルの成分構成から, 炭素鋼に対する腐食性の有無や, 生じる腐食形態を判定する手法を検討した. その結果, 水質パラメータ単独項目のみを用いた場合, 孔食のみを生じる特定水質の判別が困難であるが, パラメータ間の交互作用を考慮することで, 現有データすべての腐食性有無が判定可能であることが明らかとなった. また, 孔食のみを生じる水質を適切に判定する際には, [SO42-×酸消費量] の交互作用項目やシリカに関連する項目の考慮が必要であり, これらが淡水中の炭素鋼の孔食挙動に大きな影響を及ぼす可能性が示唆された.
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© 2006 公益社団法人 腐食防食学会
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