Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
55 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
展望
解説
  • 川原 雄三
    2006 年 55 巻 5 号 p. 172-183
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    高温腐食による材料の消耗, 廃棄は社会的な損失であり, エネルギー有効利用, 公害防止などの面でも腐食の阻止が重要と考えられる. さらに, 多くの機械に囲まれて生活している現代人にとって腐食の防止は安全性の確保と密接な係わりがある. 高温腐食はエネルギー設備, 化学反応装置, 公害防止機器, 輸送機械など生活を支える基盤設備において問題となり, 環境側と材料側の色々な要因が影響して発生する複雑な現象のため難解な面が多いが, 本紙では高温腐食へ入門する人達向けに高温腐食の単一反応, 複合腐食, 溶融塩腐食およびボイラ, 石炭ガス化プラントなどの実装置における高温腐食と腐食防止などについて出来るだけ簡潔に記述した.
論文
  • 熊谷 克彦, 梅村 文夫, 額賀 孝訓
    2006 年 55 巻 5 号 p. 193-200
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究では, 国内外各地で飲料水用として採取されている自然水を各地から取り寄せ, 炭素鋼の回転腐食試験を実施した. 確認された腐食挙動は以下の5種類, すなわち (1) 腐食なし, (2) 孔食, (3) 全面腐食, (4) 孔食in全面腐食, (5) 不均一腐食の変形, に大別された.
    さらに, その結果を多変量解析手法の一種であるマハラノビス・タグチ法 (MT法) を用いて整理し, 各サンプルの成分構成から, 炭素鋼に対する腐食性の有無や, 生じる腐食形態を判定する手法を検討した. その結果, 水質パラメータ単独項目のみを用いた場合, 孔食のみを生じる特定水質の判別が困難であるが, パラメータ間の交互作用を考慮することで, 現有データすべての腐食性有無が判定可能であることが明らかとなった. また, 孔食のみを生じる水質を適切に判定する際には, [SO42-×酸消費量] の交互作用項目やシリカに関連する項目の考慮が必要であり, これらが淡水中の炭素鋼の孔食挙動に大きな影響を及ぼす可能性が示唆された.
  • 勝山 一朗, 小林 聖治, 菅原 孔誌, 長友 友安, 保坂 治幸
    2006 年 55 巻 5 号 p. 201-204
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    ウニ類による海洋構造物の塗膜損傷を防止するため, タワシウニの防錆塗料塗膜への損傷に対する塗膜硬さの影響を検討した. すなわち, 塗膜硬さの異なる試験板を作製し, 実験的に3カ月タワシウニを試験板上で飼育し, 防錆塗膜の損傷状況を観察した. その結果, タールエポキシ塗料とエポキシ塗料 (実験終了後のマイクロビッカース硬さ (MVH) は, 10MVH程度と18 MVH程度) では, 鋼素地に達する塗膜損傷が観察され, 塗膜損傷発生率 (観察したウニの個体数に占める塗膜損傷を発生させた個体数の割合%) も, 50%以上と高かった. 一方, 市販されている防錆塗料で塗膜がもっとも硬いエポキシガラスフレーク塗料 (実験終了後のマイクロビッカース硬さ (MVH) は30MVH程度) では, 塗膜損傷発生率も10%程度と低く, 損傷の程度も引っ掻き傷程度のもので, 鋼素地に達する状態ではなかった. そこで, タワシウニによる鋼素地に至る塗膜損傷は, 高価ではあるがエポキシガラスフレーク塗料で, 防止可能と考えられた. また, 塗膜硬さと塗膜損傷発生率の関係から, タワシウニによる損傷を受けない塗膜性能としては, 40MVH程度以上の硬度が要求されると考えられた.
  • 纐纈 英之, 谷山 嘉啓, 米津 明生, 長 秀雄, 小川 武史, 竹本 幹男, 中山 元
    2006 年 55 巻 5 号 p. 205-211
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    チタン水素化物は, その厚さが一定の厚さに達すると破壊を起こしやすい. しかし水素化物の形態や力学特性はよく知られていない. 本研究は水素化物の形態や破壊タイプを調べることを目的とした. 純チタン (Gr.1) やチタン (Gr.7) では, シェブロン形状の板状水素化物が表面に生成することがわかった. 板状水素化物は, その成長中や変形によって3タイプの損傷, すなわち, 水素化物内のき裂, 層剥離 および板状水素化物のせん断型破壊を受けることがわかった. 次に, Gr.1とGr.7チタンに生成される水素化物の真応力・ひずみ曲線を, 2圧子押込み試験法によって推定し, FEMを用いて押込み中に生成するモードI型破壊を起こす限界ひずみを推定した. Gr.1チタンに生成する水素化物の破壊強さとひずみは, それぞれ566MPaと4.5%に推定された. Gr.7に生成される水素化物のそれらは526MPaと16%に推定された. 真応力・ひずみ曲線の塑性不安定条件から推定される破壊ひずみは, FEM解析で推定されるひずみの約1/2になったが, チタン水素化物はそれなりの靭性すなわち塑性変形能を有していることが推定された.
feedback
Top