2006 年 55 巻 7 号 p. 284-293
腐食機構の理解は電気化学の理解が前提である. 物体の電位と電極電位の違いを示した後, 海水中のステンレス鋼の腐食挙動を例にとり, アノード反応, カソード反応とそれによる電極電位の変化について述べることにより, 海水腐食を電気化学にどのように理解すべきかを述べた. 海水腐食に関して, アノード反応の促進原因としてのピット内液の酸性化, カソード反応の促進原因としての寸法効果, 流速, 金属塩, 微生物など各腐食因子の電気化学的意味を説明した.