抄録
トキイロヒラタケ子実体よりピンク色と黄色の色素を分離した.ピンクの色素は,硫安塩析,DEAEトヨパール,トヨパールHW55によるクロマトグラフィーにより色素タンパク質として精製され,分子量はSDS-PAGEおよびHPLC-GPCによって,それぞれ24.5kDa,30kDaと推定された.本色素タンパクは267,348,493nmに吸収極大を示し,28℃およびpH4から10で安定であった.一方,黄色色素からはSephadex G-25を用いたゲルろ過により3つの色素が精製され,分子量はHPLC-GPCにより10.8kDa,5.3kDa,4.4kDaであると推定された.これらの色素は可視領域に特徴的な吸収極大が見られず,水のみに溶解性を示した.本色素はH_2O_2,KMnO_4,NaOClといった強力な酸化剤で脱色され,Fe^<3+>をFe^<2+>へと還元した.これらの性質は,メラニン色素の性質によく合致した.