材料と環境
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論文
現状腐食試験法の課題と新腐食試験法の開発
―家電製品を模擬した腐食試験法の開発 (2)―
梶山 浩志藤田 栄藤井 和美酒井 政則
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2006 年 55 巻 8 号 p. 356-363

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抄録
環境への配慮から家電製品に使用されている表面処理鋼板のクロメートフリー化を進めている. 本研究は, 今後家電製品に使用されるクロメートフリー表面処理鋼板の耐食性を適正に評価するため, 適正な腐食試験法を開発することを目的とした. 従来の腐食試験法 (SST, JASO M609-91) は, 材料の腐食形態や耐食性序列の点で実環境における腐食との相関が低かった. 従来の腐食試験法によりクロメートフリー鋼板を評価する場合, 実環境を反映しない耐食性評価をしてしまう危険性がある. そこで, 実環境における家電製品の腐食実態と従来の腐食促進試験法の課題を踏まえ, 実環境との相関が高い家電用表面処理鋼板の新腐食試験法ACTE (Accelerated Corrosion Test for Electrical appliances) を開発した. 新試験法は塩分付着工程と乾湿繰り返し工程とで構成される. 新試験法の特徴は, 実環境を模擬した試験条件 (人工海水の使用, 絶対湿度一定) であることと, 試験条件を変化させて主要腐食因子 (付着塩分量など) の依存性のデータを取得することにより, 広範囲にわたる使用環境における材料の耐食寿命推定が可能であることである. 新試験法を適用することにより, 実環境を反映したクロメートフリー鋼板の適正評価が可能となった.
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© 2006 公益社団法人 腐食防食学会
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