Zairyo-to-Kankyo
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論文
アコースティック・エミッション(AE)による埋設鋼管の土壌腐食診断
長 秀雄松尾 卓摩守屋 信一郎竹本 幹男
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2007 年 56 巻 7 号 p. 321-328

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抄録

土壌腐食によって埋設鋼管に生成するさびのAE活性度を調べた.大気腐食と土壌腐食で生成した3種類のさびのAE活性度を2種類の方法を用いて調べた.それらは,自然乾燥によって発生するパッシブなAEと,強制熱サイクルや力学負荷などの外的撹乱によるアクティブなAEである.土壌腐食さびが力学的変形を受けたときには,小さなひずみで,大気腐食さびよりもはるかに多くのAEを発生した.しかし繰り返し加熱(濡れ・乾き)を受ける土壌腐食さびのAE活性度は,大気腐食さびのそれに比べて必ずしも高くない.20年間の土壌腐食で生成した鋼管のさびは,自然乾燥のとき数少ない弱い円筒波AEを放出したが,このような弱いAEは共振周波数が100 kHz以下のAEセンサを用いて数百mmのような短距離モニタリングによってのみ検出できることがわかった.この土壌腐食さびは,繰返し熱サイクルを受けると,あるとき多くのAEを放出したが,頻繁なAEを放出するタイミングを予測することは難しい.従って,埋設配管の腐食モニタリングでは,高感度なセンサを用いた長期間のモニタリングが必要である.

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© 2007 公益社団法人 腐食防食学会
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