Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
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56 巻, 7 号
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展望
解説
ノート
  • 中津 美智代, 野村 光司, 深谷 祐一, 篠原 正
    2007 年 56 巻 7 号 p. 309-313
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2007/12/27
    ジャーナル フリー
    ウォータージェットルーム(WJL)の部品であるヘルド(13Cr ステンレス鋼,340 mml×2 mmw×0.3 mmt)は,水道水中ですきま腐食を起こす.本報では,40 mg/L以下の塩化物イオン(Cl)を含む水溶液中におけるヘルドの金属/金属間すきまの腐食すきま再不動態化臨界塩化物イオン濃度(CR, CREV)の測定法について検討した.再不動態化段階(S3)の前の発生段階(S1)および成長段階(S2)において,すきま腐食を成長させるために最適な電流電位操作を調査した.ヘルドは2枚の試験片に切断し,この2枚の試験片を重ね合わせて金属/金属間すきまを作製した.500 mg/L Cl濃度溶液中のS1でアノード分極法によりすきま腐食を発生させた.S2において,定電位法で試験片を電位200 mV vs. SCEに保持し,すきま腐食を成長させた場合,腐食孔は過剰に成長し,2 枚の試験片はすきま構造を保持しなかった.別途,S2において,試験片を200 μAに保持する定電流法ですきま腐食を成長させた.S3へ移行する前に試験液を希釈して,試験片の電位をS3の保持電位より50 mV低い電位にまで上昇させた.その結果,S3 にて,2回の試験液希釈後,電流の上昇が観察されたことから,すきま腐食の成長が確認された.そして,この電流の上昇が見られなくなった試験液の最大Cl濃度をCR, CREVとした.CR, CREV測定の再不動態化法において,試験片の電気量を時間で制御できる定電流法を用いて,すきま腐食を成長させることが望ましい.決定されたCR, CREVと電位の関係は,既に報告されている水道水中の Cl濃度とER, CREVの関係式の延長上に位置することを確認した.
論文
  • 西原 克浩, 松本 雅充, 木本 雅也, 工藤 赳夫, 内田 仁, 春山 雄一, 神田 一浩, 松井 真二
    2007 年 56 巻 7 号 p. 314-320
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2007/12/27
    ジャーナル フリー
    NaCl 存在下での空気中湿潤暴露によって,溶融Zn-Al系合金めっき上に形成された腐食初期生成皮膜について,SR-PES法とμ-FT-IR法を用いた構造解析を行った.その結果,Alを添加した合金めっき上には最初Zn(OH)2が形成され,腐食進行に伴い,皮膜の主成分がZn-0.2%Al上では塩基性炭酸亜鉛,Zn-55%Al上では塩基性塩化亜鉛にそれぞれ変化した.また,NaCl存在下の湿潤暴露によって,表面から深さ約1 nmまでの表層の構造がAl酸化物からAl塩化物に変化した.
  • 長 秀雄, 松尾 卓摩, 守屋 信一郎, 竹本 幹男
    2007 年 56 巻 7 号 p. 321-328
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2007/12/27
    ジャーナル フリー
    土壌腐食によって埋設鋼管に生成するさびのAE活性度を調べた.大気腐食と土壌腐食で生成した3種類のさびのAE活性度を2種類の方法を用いて調べた.それらは,自然乾燥によって発生するパッシブなAEと,強制熱サイクルや力学負荷などの外的撹乱によるアクティブなAEである.土壌腐食さびが力学的変形を受けたときには,小さなひずみで,大気腐食さびよりもはるかに多くのAEを発生した.しかし繰り返し加熱(濡れ・乾き)を受ける土壌腐食さびのAE活性度は,大気腐食さびのそれに比べて必ずしも高くない.20年間の土壌腐食で生成した鋼管のさびは,自然乾燥のとき数少ない弱い円筒波AEを放出したが,このような弱いAEは共振周波数が100 kHz以下のAEセンサを用いて数百mmのような短距離モニタリングによってのみ検出できることがわかった.この土壌腐食さびは,繰返し熱サイクルを受けると,あるとき多くのAEを放出したが,頻繁なAEを放出するタイミングを予測することは難しい.従って,埋設配管の腐食モニタリングでは,高感度なセンサを用いた長期間のモニタリングが必要である.
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