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論文
Ni-Cr-Mo合金の腐食すきま再不働態化電位測定方法の最適化
深谷 祐一明石 正恒佐々木 英次辻川 茂男
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2007 年 56 巻 9 号 p. 406-413

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抄録

高レベル放射性廃棄物地層処分用の処分容器(オーバーパック)候補材料の耐すきま腐食性を定量的に評価するために,JIS G 0592「ステンレス鋼の腐食すきま再不働態化電位測定方法」に基づいてNi-Cr-Mo合金Alloy 22の腐食すきま再不働態化電位ER,CREV測定法の最適化を検討した.進展性腐食すきまに対応する正しいER,CREVを決定するためには,2つの制約,すなわち,(a)過不働態溶解を生じさせないこと,(b)すきま部における腐食すきまの侵食深さが臨界侵食深さ65μmを超えること,が満たされなければならないことを明らかにした.JIS法の腐食すきま発生過程の標準操作である30 mV min−1動電位法は上記(a)を満たせなかったため,過不働態溶解開始電位直下での定電位保持法を採用した.JIS法の腐食すきま進展過程の標準操作である200μA/2 h定電流保持は上記(b)を満たせず,1600μA以上の保持電流は(a)を満たせなかったことから,800μA/2 h定電流保持を採用した.こうしてNi-Cr-Mo合金向けに最適化した手順によって90℃の0.1~4 mol dm−3 NaCl水溶液中におけるAlloy 22のER,CREVを測定し,その可使用限界条件を評価した.

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© 2007 公益社団法人 腐食防食学会
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