材料と環境
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56 巻, 9 号
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展望
解説
  • 南雲 道彦
    2007 年56 巻9 号 p. 382-394
    発行日: 2007/09/15
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    前報に続いて塑性変形が関与する水素脆性機構として水素助長空孔理論を紹介した.塑性変形に伴って生成する格子欠陥の検出法と,水素が空孔生成とその凝集を助長することを示した.機構モデルの裏づけとして鉄鋼の水素脆化感受性の組織依存性が塑性変形誘起空孔密度と対応すること,疲労損傷と遅れ破壊との相互作用を述べた.また,水素脆性と水素量との関係についての問題点,遅れ破壊試験中の欠陥の経時変化を指摘した.
論文
  • 深谷 祐一, 明石 正恒, 佐々木 英次, 辻川 茂男
    2007 年56 巻9 号 p. 406-413
    発行日: 2007/09/15
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物地層処分用の処分容器(オーバーパック)候補材料の耐すきま腐食性を定量的に評価するために,JIS G 0592「ステンレス鋼の腐食すきま再不働態化電位測定方法」に基づいてNi-Cr-Mo合金Alloy 22の腐食すきま再不働態化電位ER,CREV測定法の最適化を検討した.進展性腐食すきまに対応する正しいER,CREVを決定するためには,2つの制約,すなわち,(a)過不働態溶解を生じさせないこと,(b)すきま部における腐食すきまの侵食深さが臨界侵食深さ65μmを超えること,が満たされなければならないことを明らかにした.JIS法の腐食すきま発生過程の標準操作である30 mV min−1動電位法は上記(a)を満たせなかったため,過不働態溶解開始電位直下での定電位保持法を採用した.JIS法の腐食すきま進展過程の標準操作である200μA/2 h定電流保持は上記(b)を満たせず,1600μA以上の保持電流は(a)を満たせなかったことから,800μA/2 h定電流保持を採用した.こうしてNi-Cr-Mo合金向けに最適化した手順によって90℃の0.1~4 mol dm−3 NaCl水溶液中におけるAlloy 22のER,CREVを測定し,その可使用限界条件を評価した.
  • 喜多 勇人, 木本 雅也, 工藤 赳夫
    2007 年56 巻9 号 p. 414-419
    発行日: 2007/09/15
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    本研究ではMg-Al-Zn系合金の大気腐食に及ぼすAlの影響を調査するため屋外暴露試験および海塩付着模擬試験を行った.両試験法ともにAl含有量の多い合金ほど耐食性に優れ,暴露における表面皮膜中へのAl濃化が腐食抑制に有益な効果をもたらしたと考えられる.さらに屋外暴露試験における腐食形態はAl含有量の増加により全面腐食から局部腐食へと変化することが判明した.海塩付着試験におけるマグネシウム合金の腐食減量は付着塩量の増加,相対湿度の上昇により増大した.ここで得られた結果を水膜の厚みとCl濃度に対して整理することにより,マグネシウム合金の腐食速度が水膜厚み依存性を示すことを明らかにした.
  • 澤田 清, 佐藤 敬一, 管野 元太
    2007 年56 巻9 号 p. 420-426
    発行日: 2007/09/15
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    炭酸カルシウム過飽和溶液からステンレス鋼表面への結晶の付着・生成機構を25.0℃で調べた.過飽和度の高い溶液からは,溶液中で瞬時にアモルファスのCaCO3(ACC)が沈殿する.2 min間の誘導期間の後,カルサイト結晶が生成・成長し,さらに3.5 min後にはバテライトの結晶が生成し始める.約8 minでACCはすべて結晶多形に転移する.その後,生成した準安定多形であるバテライトは7 hで最も安定な多形であるカルサイトに転移する.沈殿生成前に金属板を溶液へ挿入した場合,金属板表面には初期に少量のACCが付着生成し数分で消失する.その後カルサイトが付着し成長する.ACCの沈殿生成直後の溶液に金属板を挿入した場合,カルサイトの付着と同時にバテライトも付着生成する.金属表面上のバテライト結晶は直線的に並んで付着する.金属板上のカルサイトは成長する.バテライトは溶解し消失する.溶液中のバテライトの生成以後に金属板を挿入すると,炭酸カルシウムの付着生成は起こらない.塩酸による金属表面のエッチングはカルサイトの付着生成量を減少させる.金属表面に傷を付けても結晶付着は促進されない.
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