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解説
石油精製装置用動力回収タービンにおける高温硫化腐食と対策
八鍬 浩宮坂 松甫
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2009 年 58 巻 6 号 p. 214-220

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抄録

石油精製装置用動力回収タービン(FCCガスエキスパンダタービン)のローターにはNi基合金UNS N07001が多用されるが,ガス中に含まれるH2SやSO2によって硫化腐食を受けることがある.本稿では,FCCガスエキスパンダタービンローターにおける高温硫化腐食問題とその対策について概説した.まずは,FCCガスエキスパンダタービンの動翼/ディスク勘合部に発生する粒界硫化腐食挙動に対するガス成分,温度および応力の影響について述べた.次に,ガスエキスパンダタービン動翼の破断メカニズムについて触れ,最後に,高温硫化腐食対策として,Cr拡散浸透処理,スチームクーリングシステムおよびFCCガスエキスパンダ用耐硫化腐食性Ni基合金について述べた.Cr拡散浸透処理は,複雑な形状の動翼/ディスクの勘合部にも高い寸法精度でコーティングを施すことが可能であり,かつ,ガスエキスパンダに高い耐食性を付与する.また,FCCガスエキスパンダローター用に開発された耐硫化腐食性Ni基合金は,従来材(UNS N07001)と同等の高温強度特性を維持しながら,より高い耐硫化腐食性を示す.

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© 2009 公益社団法人 腐食防食学会
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